2016年09月09日発行 1443号

【議会を変える 声をあげ行動する市民の誕生 大阪府枚方市議・手塚たかひろ】

 7月7日、香里ケ丘中央公園のバリケード撤去。8月5日には、市役所と地元の南部生涯学習市民センターの美術館模型撤去。まだ、設置条例廃止、市と寄付者の覚書廃棄、寄付者からの「損害賠償」など整理すべき課題は残っている。しかし、公園への美術館建設は白紙撤回された。粘り強い市民運動の成果だ。

 地元の見守り活動は8月5日の300回で終了。2年前に見守りを始めた8月29日には「守ったぞ!中央公園 語る集い」を開催する。報告集の発行も検討されている。

 見守り活動は、早朝のブルーシート張りから始まる。9時から参加者全員のミーティング。多いときは30名を超える。車座で情報や意見交換。30分から1時間でミーティングは終わり、交代で見守りを続け、夕方には撤収する。

 毎朝のミーティングで、白紙撤回署名、賛否を問うシール投票街頭宣伝行動、絵本の作成・発売、枚方市への申し入れ、市議会への請願―様々な提案が出され自由に議論され取り組みが決まる。直接民主主義が実現した。

 白紙撤回を勝ち取った要因は、(1)14年8月から連日、見守り活動を早朝から夕方まで継続し、建設強行を許さなかったこと(2)白紙撤回を求める署名を1万6千筆以上集め、広く市民に訴えたこと(3)市内18か所で賛否を問うシール投票を行い、反対する市民は少数ではないことを事実で市民、市当局・議会に知らせたこと(4)絵本「アラカシのもり」ができ、文化的な手段で幅広く市民に訴え、運動の幅を広げたこと(5)連日のミーティングは、情報を共有し、誰もが自由に発言でき、みんなで議論し、直接民主主義による参加者相互の連帯と信頼ができたこと―と考えている。

 香里ケ丘には戦前、地形をいかして陸軍の弾薬製造工場があった。そのことを示す遺跡はわずかしか残っていない。保存が急がれる。「香里ケ丘の歴史を考える会」が生まれ、枚方市の平和施策として行政責任での戦跡保全を求める運動が始まった。

 老朽化がひどい香里ケ丘図書館の建て替え問題。行政は市民の要望は聞くと言いながら、市民参加の検討会議の設置は考えていない。新しい図書館には香里ケ丘の歴史、住民運動の歴史などの展示が必要、と市民の声。住民参加での図書館建設を目指す運動も始まった。

 運動は、多くの方々との新しい出会いと、あきらめずに続ければ勝利するという市民の自信を作り出した。市政の主人公は市民だ。市民無視で勝手に決めるな。我々を参加させろ。声をあげ行動する市民の誕生だ。
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