2016年09月09日発行 1443号

【避難者を路頭に迷わせない/住宅打ち切り問題で京都府と話し合う】

 8月19日、「うつくしま☆ふくしまin京都―避難者と支援者のネットワーク」は京都府と避難用住宅打ち切り問題について話し合いの場を持った。同事務局の上野益徳さんに報告を寄せてもらった。

 8月19日の話し合いは1時間という制限を条件に設定されたものです。京都府側は原子力防災課の渡部副課長以下4名、「うつくしま☆ふくしま」側は避難者5名と子ども3名、支援者8名と子ども3名が出席しました。

 最初に、奥森祥陽代表が「原発事故避難者の住まいの安定に関する要請書」を読み上げました。8月17日に福島県が発表した、県外にとどまる避難者への支援策の不十分さも指摘し、このまま2017年3月末で「みなし仮設住宅」の無償提供が打ち切られれば路頭に迷う避難者が出るかも知れず、命が脅かされる事態は許されないこと、国際人権規約や国連の基準、報告も踏まえ、京都府として避難者支援策を早急に実施することを強く求めました。

 合わせて、すでに内閣府と福島県に提出済みの「避難用住宅の提供打ち切り撤回と避難用住宅の長期無償提供を求める署名」6万4041筆のうち京都集約分3366筆分の写しを手渡しました。

可能な独自施策を

 今回の要請書の特徴は、避難用住宅の無償提供の延長を求めつつも、このままの状態で来年3月になれば路頭に迷う人が出てくることから、全国における先進的な事例を紹介しながら、こういうケースにはこう対応ができるのではないかと、メニューを提示していることです。

 話し合いは、要請書の各項目について京都府側が回答、うつくしま側が質問や意見を言い、府側が答えるという形。主な要請項目は、みなし仮設住居入居期間の1年延長、府営住宅入居者の「特定入居」による入居継続、希望者全員の「優先入居」枠の確保、借り上げ継続、家賃減免や上積み補助などです。要請した事項に誠実に対応することで、路頭に迷う人は出なくなることを強調しました。

 避難当事者からは「残っているのは動けない人」「今の公営住宅に居続けるしかない」「これは命の問題」と切実な訴えがありました。要請項目は、他の自治体が決めたことや京都府がこれまでやってきたことを基にしているので、京都府側もむげには拒否できないとの印象を受けました。

 結局、他の自治体での取り組みを参考にして検討し、一定の結論を秋口には出したいとの回答を得ました。

 記者会見では、避難者の現状と京都府に独自の取り組みを要請したことを説明。KBS京都テレビは当日夜の報道番組で特集し、翌朝には京都、毎日など4紙が取り上げるなどの反響がありました。

 今後は、引き続き相談会や住宅問題説明会を開催すると共に、京都市とも話し合いを持ち、さらに住宅問題での公聴会の開催や各自治体議会での意見書採択など、社会的に訴えていくつもりです。

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