2016年09月16日発行 1444号

【1444号主張 改憲阻止、辺野古・高江反対 自治体から意見書、決議を】

自治取り戻す沖縄の闘い

 「すべて国の意向で決められるなら、地方自治は死に、日本の未来にぬぐい難い禍根を残す」。8月5日、辺野古違法確認訴訟での翁長(おなが)沖縄県知事の陳述だ。安倍政権の横暴を暴き、新基地建設阻止の沖縄の闘いに地域から連帯しよう。これは日本の地方自治と民主主義を取り戻す闘いだ。

 戦争法を実行し改憲を加速したい安倍にとって、自衛隊も使用する侵略拠点と狙う辺野古新基地建設は要だ。その前に立ちはだかるオール沖縄≠フ闘いは邪魔で仕方ない。安倍は、参院選直後に高江ヘリパッド建設工事強行再開と辺野古埋め立て承認取り消し違法確認訴訟に踏み切った。全国と沖縄を分断し、孤立させて闘いの封殺をもくろむ。

沖縄、福島で憲法違反

 東村高江での機動隊による弾圧は凄まじい。抗議する市民だけでなく取材の新聞記者も強制排除し、負傷者も出している。道路封鎖と検問、事前協議なしの立木伐採等、道路交通法、森林法、県条例などに反する数々の違法行為を国自らが行う横暴ぶり。まさに戒厳令♂コだ。この弾圧については、国連人権理事会の理事国選挙をめぐる国連公開討論会(7/22)でも日本政府に批判がつきつけられた。

 政府が沖縄県を訴えた辺野古違法確認訴訟は、地方自治を否定するものだ。公有水面法により埋め立て承認権限を持つ沖縄県知事が取り消した判断は、「一見明白な違法」がない限り国は関与できない。これが国・地方の対等を定めた地方自治法の大原則だ。しかし、政府は「国の専権事項」のみ主張し、「一見明白な違法」を指摘することはない。違法を立証できない裁判に道理はない。

 こうした暴力や違法行為がまかり通るならば、どのような無法も「国の専権事項」の名で強行できることになる。自民党改憲案に盛られた内閣独裁の緊急事態条項、自治体を国に従属させる地方自治否定条項など、改憲の先取りを許してはならない。

 安倍の横暴は原発推進でも顕著だ。8月12日、全国の反対の世論を押し切り、熊本地震の震源に連なる中央構造線の真上にある危険な伊方原発3号機を再稼働した。また、避難指示解除により居住制限区域(20_シーベルトを超え50_シーベルト以下)の住民も帰還させ被ばくを強要しようとしている。区域外避難者には住宅提供打ち切りで避難の権利を否定する。生活困窮に追い込み帰還を強制する被害者切り捨てだ。

 安倍の棄民政策は、人格権や生存権を否定する明らかな憲法違反である。

緊急署名と一体で

 憲法違反状態を正し命と人間の尊厳を守る闘いは、地域から自民党改憲案を否定し改憲を阻止する闘いとなる。

 憲法が定める地方自治は、人権保障と平和を実現することを求めている。国の暴走に歯止めをかけ、自治権を行使して市民の命と人権を守るのが自治体と議会の役割だ。戦争法反対運動では、全国300以上の議会で意見書が可決され、安倍を追い詰めた。沖縄新基地建設するな、高江の工事強行と弾圧やめよ、原発再稼働するな、避難者住宅無償支援を延長せよ。全国で始まる平和と命を守る緊急署名で世論を大きく広げ、自治体議会に意見書・決議を採択させよう。

 (9月2日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS