2016年09月16日発行 1444号

【みるよむ (410) 2016年8月27日配信 イラク平和テレビ局in Japan 「イスラム国」の暴力と欧米の軍事介入にNO!】

 7月30、31日に開催された2016ZENKOin大阪に参加したサナテレビ代表のサミール・アディルさんに、イラク平和テレビ局in Japanがインタビューを行った(8月1日)。

 まず、悪名高い「イスラム国」(ISIS)の支配とはどういうものか。

 サミールさんは「一番の犠牲者は女性だ」と言う。女性は顔を完全に覆う二カーブ着用を強制され、市場に通うのも夫や兄弟など男性が一緒でなければならない。大学まで男女別学で、エンジニアやインターネットの勉強もできない。軍事的に追い込まれた「イスラム国」は子どもを爆弾攻撃に使うという非人間的なことも平気でやってのける。

 サミールさんは、「『イスラム国』を生み出したのは米国とその同盟諸国だ」と断言する。シリア国内では、シリア政府を打倒するために米国、トルコ、サウジアラビア、カタールなどが資金を出しこれらテログループを育成してきた。

 米国やロシアなどが「イスラム国」にしかけた「対テロ戦争」は、全く民衆の利益になっていない。この戦争のためにシリアで1200万人以上、イラクで800万人以上もの難民が出ている。

 驚かされるのはイラク政府の腐敗ぶりだ。現在のアバディ首相自身が2005年に通信大臣だった時に5億ドル(約500億円)もの汚職に手を出している。政府の資金が2003年の占領以後1200億ドル(約12兆円)も「消えてなくなった」と言う。

 こんな世界で最も悪質な腐敗政権を支えることでグローバル資本はあくどい金儲けをしている。IMF(国際通貨基金)は150億ドル(約1兆5千億円)もの融資を行い、石油をはじめとしたイラク経済を支配しようとしている。IMFの主要な資金拠出国は米国や日本だ。さらに、日本政府はイラク政府に数千億円のODA(政府開発援助)を提供している。

 サミールさんたちは、「イスラム国」の暴力、イラク政府や米国とその同盟国の軍事行動によって多数の市民が犠牲となる厳しい状態の中で、市民、労働者の権利を守る闘いを進めている。日本からイラク市民との連帯を強め、「イスラム国」の暴力も米国などの軍事介入もやめさせなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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