2016年09月16日発行 1444号

【2016青空のびのびプロジェクト/福島県の母子・避難者家族を迎え保養キャンプ/子育て支えあう思いを共有】

 福島や東日本から避難した親子を毎年招待している「青空のびのびプロジェクト」のキャンプが8月12〜14日、「竜王こどもの王国」(京都府京田辺市)で行われた。事務局の子ども全交(子全)高松昌子さんに報告を寄せてもらった。

 原発被災者の保養キャンプと位置付けた「青空のびのびプロジェクト」。今年も「竜王こどもの王国」で避難者親子30人を含む80人で2泊3日のキャンプを行いました。「昨年楽しかったから」と誘いの声掛けで参加された避難者家族もありました。

みんなで、一緒に

 うちわに描いた自己紹介に始まり、灯籠(とうろう)を飾って夜店、自然の中のフィールドワーク、幼児さんは冒険ごっこ。そして、流しそうめん、すいか割り、ご飯作り、キャンプファイヤー…。

 「はじめはドキドキしたけど、あとからたのしくなりました」「1ばんたのしかったことは、みんなでいっしょにごはんをたべたことです」「ぼくは、たんけんがたのしかったです」「あたらしいともだちができてたのしかった」「みんながやさしいと思いました。だからつぎもいきたいと思います」。子どもたちの感想です。

 日頃関わりのない子ども同士のグループ行動は思いもよらない展開もあり、引率の大人は大変でしたが、「みんなで」「一緒に」をキーワードに楽しい経験となりました。

 また、学校や家庭で管理され抑えつけられた反動を垣間見るような、はめをはず子どもの様子に、一方的「しつけ」「指導」ではない大人の関わり、子どもの心を揺さぶる学びが必要であることを感じました。今後、子どもの育ちをともに考える交流の時間もプログラム化できたらと思います。

真剣な親の交流

 神戸に避難している参加者から「6年目の今もこうした避難者キャンプの開催がありがたい。幼稚園のママ友とはできない放射能の話を共有できる場に感謝。被曝の問題は、津波や地震のように復興するのでなく時間の経過とともに悪くなるので心配は尽きない」と感想が寄せられました。

 毎回行われる医療問題研究会の医師による講演。今回も「明白な甲状腺がん異常多発と健康障害の進行」のお話を聞き、交流をしました。「嚢胞(のうほう)が見つかった」「エコー検査はどのくらいの間隔で行ったらいいか」健康についての深刻な心配も出されました。

 「今まで正直事故のことは遠い存在だったが、初めて避難者の話を聞いて、お母さんのわが子への思いに身につまされた」と子全のお母さん。自らが被爆2世であることやそれゆえ原爆や戦争はダメとの教えで育ったことを語ってくれました。

 子育てを支え合う仲間として思いを共有することができてとてもうれしかったです。子どもにも親にとっても豊かな子全活動を今後も取り組んでいきたいと思います。

健康相談会へ

 また、子どもを放射能から守り、避難者の悩みや心配、不安を受け止めようと始めた「避難者こども健康相談会おおさか」も、9月18日で10回目となります(13時30分〜 大阪市・ドーンセンター、http://osakasoudankai.blog.fc2.com/)。医療問題研究会医師による個別面談のほかにアロマハンドマッサージ、司法書士による法律相談、交流茶話会のフロアー企画も設けて、和やかな雰囲気で続けられています。午前のセミナーはどなたでも参加できます。

 ぜひ広め、ご参加ください。



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