2016年09月16日発行 1444号

【韓国 青年ユニオン委員長 キム・ミンスさんに聞く(下) 劇的に変わる若者組合員 自分を守る組合が必要と実感】

 前号に続き、韓国のキム・ミンス青年ユニオン委員長のインタビューを掲載する。

◆若者は労働組合の役割を知らない場合や拒否感を抱くことも多いですが、青年ユニオンに加入したり相談に来る若者はどうですか。

 職場で問題が生じて最初は駆け込みで青年ユニオンに入っても、問題解決の過程で労働組合への否定的なイメージが劇的に変わることが多いですね。

 韓国の若者は、既存の大きな労組の姿勢―若者の失業や非正規問題の解決へ特にすべきことはないという立場に不満をもっています。既存組合が私を守ってくれないことへの怒りから、逆説的に、自分を守ってくれる組合が必要だと感じています。職場での問題を解決したり、あるいは社会的に自分の問題(例えば最低賃金問題や社会保障拡大)を主張したり代弁してくれる労働組合が必要だと。

◆若者の労働法教育などは。

 2014年の総選挙で、多くの自治体で革新の教育委員長が誕生しました。高校の労働法教育で、授業に青年ユニオンのメンバーが訪れることもあります。近い年齢の人が語ってくれるから、学生らの反応はいいようです。

◆韓国の国会議員選挙では、20代の投票率が高まり、国会の与野逆転の原因となったそうですね。

 若者で政治参加に対する関心が高まっています。私が見るに、その理由は、食べて暮らしていくのが本当にしんどい、というところにあります。非正規、貧困、不安定労働での将来の不安、階層間の格差などです。

 とはいえ、労働問題についてはようやく関心を持たれるようになった段階だと思います。日本では、ブラック企業、パワハラなどが5年ほど前からよく言われていましたが、韓国では最近になって5年の時間差で問題化されています。

◆全交に参加しての感想は?

 良かったです。日本の市民社会を韓国と比較した時、国際連帯の力量は日本がはるかに高いと思っています。全交が行う国際連帯を通して活動を組織するという点を、韓国の運動は学ばなければならないと思っています。

 印象深かったのは、実行委員会などを若い人たちが担っていることです。若い人を前面に立てるのは、簡単なようでなかなかできないこと。最初はぎこちなくても、そのような経験が地元や身近な場で運動をどう組織するかの学習になり、成長につながっていきます。

 多様なテーマが集まり、決議案を採択するという方法も興味深かったです。

 その中で安倍政権が先の参院選で、平和、安保問題を隠すために、経済問題を前面に出したという話がありました。それは韓国の保守勢力も同じです。保守陣営が経済問題を掲げる時、市民社会はそれに強く対応しなければならないと考えます。「アベノミクス」と全面対決すること。効果的にそれを攻撃すれば、多くの人びとの問題は「食べて暮らしていくこと」だから、広がっていくと思います。

◆ありがとうございました。

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS