2016年09月30日発行 1446号

【1446号主張 辺野古訴訟 最悪の政治判決 辺野古・高江と連帯強化を】

自治、民主主義を否定

 沖縄県名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐり9月16日、福岡高裁那覇支部は「辺野古が唯一」という国の主張を全面的に追認する不当判決を言い渡した。

 判決は、辺野古新基地に反対する沖縄の民意を踏みにじり、国と地方の関係は対等と位置付けた1999年の地方自治法改正の流れにも逆行する。安倍政権の意を受けたむき出しの政治判決であり、断じて認められない。鶴保沖縄担当相は「早く片付けて」と言い放った。法も民主主義も県民の思いも全く顧みない姿は、怒りにさらに火をつけた。

 翁長(おなが)知事は厳しい表情で記者会見に臨み、「日本の地方自治・民主主義の在り方に困難をもたらす」と批判。承認「撤回」も視野に入れ、あらゆる手段で辺野古新基地を阻止することを表明し、「長い長い闘いになろうかと思う」と闘いの決意を語った。

無法状態の沖縄・高江

 東村高江では、違法状態でヘリパッド建設が強行されている。全国から機動隊が動員され、何の法的根拠もないまま県道を封鎖し、テントを撤去し、抗議する市民を排除する。まさに戒厳令下であり、改憲の先取りである。

 沖縄防衛局は、工期を1年1か月から6か月に短縮するため、N1、H、Gの3地区の工事を同時に進め、来年1月にも完了させようとしている。9月13日、自衛隊機CH47輸送ヘリ2機を投入した重機の空輸に、「ここまでやるか」と市民は憤激する。当初計画のなかった運搬道路をつくるため、森林が伐採されていることも判明した。

 「国益」のためには、憲法を停止させ、世界自然遺産に値する豊かな自然を破壊することもいとわない。なりふり構わぬ政府の姿勢である。

孤立しているのは安倍

 異常な強硬姿勢の背景には、安倍政権の焦りがある。辺野古・高江現地とオール沖縄の闘いがどんな暴挙・無法にもひるまないからだ。

 判決の翌9月17日、高江ではN1ゲート前に市民300人が結集し、工事車両を完全に止めた。辺野古でも工事再開を警戒し市民30人が座り込む。21日には「不当判決に抗議する県民集会」(オール沖縄会議主催)が那覇市の県民広場で開かれる。「県民のより大きい反発と結束」(9/17翁長知事)が強まっているのだ。高江では水曜・土曜の大行動で資材搬入を遅らせ、工事できない希少種の営巣時期、来年3月までに工事を終わらせることは困難な状況だ。

 連帯は海外にも広がる。IUCN(国際自然保護連合)は、日米両政府に対し辺野古新基地建設に伴う外来生物侵入対策を求める勧告を採択した。国際世論は建設断念を求めている。また、米退役軍人団体VFPは、年次総会で辺野古新基地建設計画中止と高江ヘリパッド新設中止を求める決議案を全会一致で可決した。米国内でも明らかな変化が広がっている。

 司法での闘いは最高裁へと移る。安倍のメディア支配の下で重要なのは反基地世論を地域からつくり出すことだ。ZENKOの呼びかける「沖縄・憲法緊急署名」を広げ、全国から安倍政権を追いつめ、基地建設を断念させなければならない。辺野古・高江との連帯を強め、10万筆を達成しよう。

 (9月18日)
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