2016年10月21日発行 1449号

【1449号主張 辺野古・高江 全国の連帯こそ 署名を広げ団結まつりへ】

違憲の「屁理屈」判決

 「単に基地の建設場所や、面積が今より小さくなるから自治権侵害に当たらないなどという論理は、沖縄における米軍基地による被害や過重負担の実態を完全に無視した屁理屈に等しいものであり言語同断である」

 沖縄県は10月3日、最高裁への上告理由書で、翁長(おなが)知事の辺野古埋め立て承認取り消し処分を違法とした一審高裁判決を厳しく批判した。

 沖縄は米軍基地の存在によってすでに地方自治権が侵害されており、「新基地建設を強行することで基地の過重負担をさらに将来にわたって固定化することは憲法第92条に保障された『地方自治の本旨』を侵害する」。新基地建設の根拠となる法律を制定せずに工事を強行することは憲法41条(国会が唯一の立法機関)、92条(地方公共団体の組織及び運営に関する事項は法律で定めなければならない)に違反する、と判決の違憲性を余すところなく主張した。

 また、上告受理申し立て理由書では、判決が翁長知事の承認取り消し処分ではなく仲井真前知事の承認処分を判断するという審理対象そのものの誤りを指摘。裁判所の権限を越えて知事の裁量権の範囲内に踏み込む「裁量内違法」という特異な解釈で憲法の三権分立にも反する法解釈違反、判例違反を重ねた判決の異常さを明らかにした。

憲法破壊との闘いだ

 法廷闘争の舞台は最高裁に移った。しかし、最高裁は9割以上のケースで弁論も開かずに上告を棄却しているのが実態だ。運動と世論の力で口頭弁論、公正審理を行わせ、憲法違反の高裁判決を破棄させなければならない。

 高江のヘリパッド建設については、10月8日、菅官房長官が「年内完成」を知事や地元東村、国頭(くにがみ)村両村長に伝えた。戒厳令状態の高江で市民への弾圧を強め、工事強行を加速させるつもりだ。工事を中止させ、全国から派遣されている機動隊を帰還させなければならない。

 全国でも突出した違憲状態におかれている沖縄において、さらに司法や基地建設の場で憲法破壊を進める安倍内閣を断じて許すことはできない。

地域から連帯の世論を

 今こそ全国で沖縄と連帯する闘いを強化するときだ。

 ZENKOが呼びかける「沖縄に新しい基地をつくらせず、憲法改悪をさせない平和と命を守る緊急署名」に加え、総がかり行動実行委員会は「沖縄県民の民意尊重と、基地の押し付け撤回を求める全国統一署名」を提起した。仲間とともに一層大きく広げよう。それは高江や辺野古の実態を伝え、新基地反対の世論を地域から強める運動だ。高江ヘリパッド建設反対の意見書・決議も京都・向日(むこう)市や東京・武蔵野市に続き、全国の自治体で可決させよう。

 10月23日投開票の衆院補選(東京10区・福岡6区)では、妨害の動きを押し返し野党共闘が成立した。これを歓迎し、運動を強め市民・野党共闘の力で勝利を切りひらこう。

 団結まつり(10/23東京、10/30大阪)には、「高江・ヘリパッドいらない住民の会」メンバーが参加する。市民に広く呼びかけ、高江・沖縄現地の闘いや住民の思いに応え、署名をはじめとする沖縄連帯の闘いを飛躍させよう。

 (10月9日)
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