2016年10月28日発行 1450号

【みるよむ(415) 2016年10月8日、15日配信 イラク平和テレビ局in Japan 無償教育廃止を許さない 未来を作るのは若者だ】

 今回は2つの配信を紹介する。ともにイラクの厳しい現実に対する市民の思いと自覚に注目したい映像だ。

 10月8日配信の「無償教育の廃止を許さない」は、7月に有力国会議員の元教育大臣が無償教育廃止を言い出したことについて市民にインタビューしている。

 ジャーナリストは「バグダッドの郊外の学校でさえ教員が不足していて困っている。机が子どもに合ったものでなく、校舎にも問題がある」と指摘する。この劣悪な教育状況でさらに無償教育を廃止したら、教育は破壊されてしまう。

 活動家によると、イラクの国家資金から7500億ドル(75兆円)も汚職政治家やグローバル資本が奪った上に、世界銀行からの150億ドル(1兆5千億円)の融資も44億ドル(4400億円)が石油会社に渡るだけで予算には組み込まれない。この資金もグローバル資本と汚職政治家の懐(ふところ)に行くのは間違いない。

 市民は「(国会議員が)イラク国民のお金を盗み取った」と批判する。「国民の利益とならない議員は去らなければなりません」との批判は、イラクでも日本でも共通の言葉となる。

 10月15日配信は「イラクの未来を作るのは若者だ」。国連が定めた8月12日国際青少年デーの時に、学生たちが発した社会へのメッセージを伝えている。

 「汚職に反対、宗派主義にノー」と訴える学生は「政府の改革を要求する前に、まず若者自身が変わらなければなりません」と主張する。子どものころから戦争とIS(「イスラム国」)による暴力などを体験してきたのだろう。「私は悲惨な状況の中で生きてきた」と語る。その現実を変えるために「積極的になって自分自身を変える」ことを出発点にしてきたという。

 活動家の女子学生は「困難な状況を通り抜けてきた。急に襲撃を受けたこともある」と述べる。命の危険にさらされてきたのに違いない。彼女は「状況が私たちを作るのではありません。現実を作るのは私たちです」と主張する。もう一人の女性も「若者が肩を組み合い、みんなを代表して愛を広げてほしい。イラクの根本的な変革は若者から始まる」と訴える。

 学生たちは自らが社会変革の闘いに参加することで現状を変えようとしている。安倍政権下の日本でも状況は変わらない。同じ志を持って連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



 
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