2016年10月28日発行 1450号

【11月モディ・インド首相来日 核拡散加担は改憲と一体 日印原子力協定を阻止しよう 寄稿 コアネット(戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション) 三ツ林安治】

調印急ぐ日印政府

 9月30日、共同通信が「日印両政府は、モディ首相が11月中旬に来日し、安倍晋三首相と会談する方向で調整。会談に合わせ、原発輸出を可能とする原子力協定に署名する見通し」との記事を配信した。

 原子力協定調印に向けた昨年12月の「原則合意」からほぼ1年。政府は、その内容を一切明らかにしないまま、NPT(核不拡散条約)非加盟国インドへの原発輸出を強硬に進めようとしている。

 今年相次いで開催された仏印、米印首脳会談では、来年前半インドにおいて、米国企業(GE<ゼネラル・エレクトリック>、WH<ウェスチングハウス>)、フランス企業(アレバ、EDF<フランス電力会社>)が関与する原発を建設することに合意。これらの原発には世界の80%のシェアという日本製鋼所室蘭製作所の原子炉圧力容器を始め、多くの日本の技術が使われる。インド市場拡大を狙う世界中の原発メーカーにとって、日印原子力協定は避けて通れないハードルなのだ。

 このため、今年中の調印、遅くとも来年の通常国会で承認・批准というスケジュールが画策されているのである。

核軍拡へゴーサイン

 伝えられる交渉内容は、核拡散につながる危険なものを含んでいる。例えば、使用済み核燃料の再処理を日本側が容認すれば、インドが受けるIAEA(国際原子力機関)の「特例措置」による査察は「民生用」に限定される。「非民生用=軍事用」は査察を逃れて軍事転用が可能となり、一切の国際的監視を受けなくなる。また、2016年1月、安倍首相は「インドが核実験を行った場合には協力を停止します」と答弁したが、事後対応では歯止めにならないことは明らかだ。

 加えて、インドとパキスタンの関係は急速に悪化している。9月以降、両国が帰属を争うカシミール地方で武力衝突が激化。11月開催予定の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会談は延期された。こうした情勢でインドへの原子力協力による「原発と核兵器増産」が実行されれば、核戦争の引き金になることさえ予想される。

阻止キャンペーン2016

 10月、「日印原子力協定阻止キャンペーン2016」が、昨年ともに阻止運動を闘った市民団体を中心に立ち上げられた。来日中のクマール・スンダラム氏(インド核軍縮平和連合)と共に各地の集会参加、議員要請などの取り組みを進めてきた。10月6日には、75人の衆参国会議員が所属する「原発ゼロの会」定例世話人会議に参加。スンダラム氏はインド現地の状況などを訴えた。この成果は、逢坂誠二議員(民進党)の質問主意書の提出となって現れた。

 また、10月11日には「『日印原子力協力協定』に反対する共同アピール」を発し、政府、官邸、報道機関に送り、「アピール署名」も開始した。東京新聞などに報道され、社会的関心が高まっている。

 日印原子力協定阻止の闘いは、グローバル資本のためには、「戦争被爆国日本」の看板も「核廃絶」への努力もかなぐり捨て核拡散に加担することも辞さない安倍政権の改憲路線との闘いである。

 集会など、皆さんの取り組みへのご参加をお願いします。

●大阪集会:11月4日(金)18時30分〜 エルおおさか南館101(京阪・地下鉄「天満橋」駅)

●東京集会:11月7日(月)18時30分〜 たんぽぽ舎4階スペースたんぽぽ(JR・地下鉄「水道橋」駅)

●院内集会:11月7日(月)

15時〜16時 衆院第1議員会館第2会議室(要事前予約)

≪問い合わせ≫TEL 090-8382-9487(三ツ林)

 
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