2016年12月02日発行 1455号

【1455号主張 南スーダンPKOは戦地派兵 12・11、12・18冬ZENKOへ】

戦争へ踏み出す閣議決定

 安倍政権は11月15日、南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵する陸上自衛隊に対し戦争法に基づく「駆けつけ警護」「宿営地共同防衛」の新任務を与える閣議決定を行い、「基本的な考え方」を発表した。19日、陸自青森駐屯地で壮行会が行われ、稲田防衛相は「歴史の中で新たな一歩になる」と訓示。350人の自衛隊員は20日から事実上の戦地に順次派兵される。

 安倍政権は、戦争法と新任務で武器使用を解禁し、憲法の平和主義を根本からくつがえす戦争への一歩を今大きく踏み出したのだ。

南スーダンは内戦状態

 政府は「基本的な考え方」で、活動地域を「比較的落ち着いている(首都)ジュバ及びその周辺地域」に限定し、南スーダンの現状を「多くの市民が殺傷される事態が度々生じているが、PKO法上の武力紛争が発生したとは考えていない」とする。

 大うそである。7月10日に起きた政府軍と反政府勢力による大規模戦闘では、PKO部隊や多数の市民を含む300人以上が死亡。本格的な戦闘が実際に行われている。

 南スーダン政府のルエス情報相は「国連宿営地の門の近くで(政府軍の)装甲車両2両が国連部隊に破壊され、政府軍は国連部隊に応戦した(11/4朝日)」と証言。政府の現職閣僚が、政府軍とPKO部隊との交戦を認めたのである。事態の悪化に、国連安全保障理事会はPKO部隊による先制攻撃さえ辞さない構えを打ち出している。

 「限定」された地域など戦場にあるはずがない。PKO法上の前提となる「紛争当事者間の停戦合意」「国連平和維持隊の中立的立場」もすでに失われている。南スーダンは内戦状態にある。本来なら直ちに自衛隊を撤退させなければならない。にもかかわらずあえて新たに派兵するのは、自衛隊に海外で武力行使させ、憲法9条破壊の既成事実をつくるためだ。武力行使は戦死者を伴う。安倍は自衛隊員に命を差し出せ、生き残りたければ人を殺す軍隊になれ≠ニ命じているのだ。

沖縄・高江と連帯を

 時事通信世論調査(11/10〜11/13)では、南スーダンPKO「駆けつけ警護」任務付与に反対47・4%と賛成の28・2%を大きく上回った。署名行動や対話ですべての市民に真実を伝え、派兵反対世論を圧倒的多数へと変えよう。

 沖縄・高江オスプレイパッド基地建設も最重要局面に入った。12月20日には北部訓練場の「返還式典」、22日「正式返還」が予定されている。安倍は、辺野古・高江の闘いが全国へと波及し、改憲・戦争路線を封じ込める闘いと強く結びつき発展することを恐れている。強権的な工事強行は、これ以上闘いが広がる前に幕引きし、「米軍基地返還」の大宣伝で沖縄を孤立させるためである。

 この緊迫した情勢の中で「冬のZENKO集会」(12月11日横浜、18日大阪)が開催される。高江現地から「ヘリパッドいらない住民の会」の儀保昇さん、清水暁さんが参加する。一人でも多くの参加者とともに高江の闘いを直接聞くことが連帯を生みだす。

 南スーダンPKO派兵反対と沖縄新基地建設阻止の闘いを結び、憲法破壊の安倍政権を打倒しよう。

 (11月20日)
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