2016年12月02日発行 1455号

【「入れ墨調査」処分撤回裁判原告が記者会見 マスコミ報道の事実誤認を指摘 人権侵害を許さない闘いをさらに】

 「入れ墨調査」拒否者への処分撤回裁判上告審での最高裁棄却決定について、原告らが11月17日、記者会見で被処分者6人連名の抗議声明を出した。

 抗議声明は、大阪高裁の不当判決を追認する最高裁に対する抗議とともに、「(最高裁)決定を報道したマスコミ各社の記事内容にも問題がある」と公正な報道を求める内容となっている。例えば朝日新聞デジタル(11/11)は「市は2012年5月、児童福祉施設職員が入れ墨を子どもに見せた問題を受け、職員に記名式の調査を実施」と市の調査理由「職員が入れ墨を子どもにみせたこと」を事実であるかのにように報道した。

 抗議声明は、当時、報道直後の市議会で所属局長が「事実はなかった」と報告したことを挙げ、「橋下市長(当時)は、こうした事実を知っていたにもかかわらず、ウソの報道を利用して入れ墨調査を行った」とでっち上げ記事をもとにした不当な調査・処分であったと指摘する。

 記者会見では、原告の1人安田匡(ただす)さんがマスコミ各社に強く迫った。「間違った判決をごまかすためにウソがよみがえった。正義はこちらにある。橋下が行った人権侵害こそ暴かなければならない。それを訴えるために来た。負ける気はない」と、誤報の訂正や差別的職場支配の実態報道を要請し、今後も闘う決意を語った。

 同じく原告森厚子さんは、吉村に市長が替わっても職員支配と人権侵害が続いているとして、「上司からの命令は、どんな命令にも従えとの強制を正す上でも、判決は受け入れられない。最高裁の決定は、基本的人権を脅かし、憲法を破壊しようとする安倍政権を支えるようなもの。他の被処分者とともに、ひるまず声をあげ続ける」と語った。

 森さん、安田さんは人事委で審査中の他の4人の被処分者とともに、人権侵害を許さない闘いを継続する。

 同席した人事委で審査中の津々木勇さんは「憲法擁護の機関が不当判決を擁護。このままでは終わらせない覚悟で頑張る」と自らを奮い立たせた。同じく矢野幸一さんは「ウソから始まった調査。その事実が報道されない」と強調し「司法判断にかかわらず、行政のした人権侵害を明らかにさせる」と決意表明。

 駆けつけた支援者からも「土人発言のような公序良俗に反する事件が次々に起こってくる。人権侵害の流れに手を結んで抵抗しなければならない時代だ。広く訴えたい」とともに闘う声があがった。

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