2016年12月09日発行 1456号

【1456号主張 まやかしの北部訓練場返還式典 高江ヘリパッド建設阻止へ】

工事完了へなりふり構わず

 12月20日、沖縄米軍北部訓練場「返還式典」の開催が予定されている。高江におけるヘリパッド建設と引き換えに7800ヘクタールの北部訓練場のうち4千ヘクタールが返還される。

 安倍晋三首相は9月、臨時国会の所信表明演説で「北部訓練場4千fは沖縄県内の米軍施設の約2割。本土復帰後、最大の返還だ」と述べていた。米海兵隊自ら「約51%の使用不可能な北部演習場を日本政府に返還する」(戦略展望2025)としていた不要の演習場を返還し、代わりに最新鋭のヘリパッドを建設することで沖縄米軍基地強化を図る。これを政府は「基地縮小、負担軽減」と宣伝する。

 しかし、高江住民は垂直離着陸機オスプレイの騒音、工事の騒音で生活がすでに破壊されていることに怒り、ヘリパッド建設に強く反対している。反対する市民らは連日座り込みを続けている。

 なぜ、政府は当初2月と予定していたヘリパッド完成を急ぐのか。それは高江だけでなく辺野古、伊江島とも連動し、沖縄の米軍、自衛隊基地機能の再編強化を急ぐためだ。

狙いは自衛隊強化

 伊江島では、オスプレイやF35ステルス戦闘機の配備が進められている。辺野古新基地では、米海軍の強襲揚陸艦が接岸可能となるように計画されている。陸・海・空・海兵隊が連携して北部やんばるを中心に基地機能強化を進めようとしているのだ。

 米軍のみが進めていることではない。11月21日、自民党沖縄第一選挙区支部の国場(こくば)幸之助支部長が「次の安全保障の姿は共同使用で、将来的には自衛隊が基地を管理し、その中で米軍がともに協力しながら日本の安全保障を担っていく姿を目指すことも重要だ」と、将来は自衛隊基地にする意図をあからさまに語りはじめている。安倍政権が高江でも辺野古でも強権的に進める基地建設は、自衛隊強化をもくろんだものにほかならない。さらに実際、今年与那国島に新たな自衛隊基地が創設され、奄美から八重山に至る各地で自衛隊基地建設のための用地買収が始まっている。

 自衛隊は駆けつけ警護を新任務として南スーダンに派兵された。内戦状態の南スーダンに武力行使OKで派兵することはPKO(国連平和維持活動)の名を借りた日本の自衛隊による軍事介入だ。アフリカで介入を始めた安倍政権。アジアでも、中国に対抗してどこにでも軍事介入できるようにと狙っていることは言うまでもない。そのための沖縄基地機能強化である。

署名広げ冬ZENKOへ

 安倍は高江・辺野古・伊江島基地再編強化、南西諸島の自衛隊増強と南スーダン派兵で憲法改悪の内実を作ろうとしている。高江ヘリパッド建設阻止、南スーダン自衛隊撤退は改憲阻止の緊急課題だ。

 全交が呼びかける沖縄・改憲阻止緊急署名、総がかり行動実行委員会の沖縄統一署名を一層広げ集中しよう。

 12月11日横浜、18日大阪のZENKO冬集会には高江現地から儀保(ぎぼ)昇さん(横浜)、清水暁さん(大阪)が参加する。高江で闘う住民に強い連帯の意思を表明しよう。12月20日「返還式典」にノーの声を突きつけよう。沖縄への連帯が、戦争する国の実体化を阻み、改憲を許さない闘いとなる。

 (11月28日)
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