2016年12月09日発行 1456号

【伊方原発30キロ圏自治体要請/苦悩する自治体 本音漏らす】

 全交関電前プロジェクトは11月24日、伊方原発30キロ圏内の7つの自治体に対し、原発さよなら四国ネットワークをはじめ地元の方たちとともに要請行動を取り組んだ。

 宇和島市では、議員が同席し、請願文を議会に提出した。今回は、事前に避難計画の策定内容・課題を文書に記載してもらうことも依頼していたが、ほぼすべての自治体から要請時に提出されたことは継続した運動の成果だ。

 11月11日に愛媛県主催の伊方原発事故時の避難訓練が大規模に行われた。宇和島市、伊予市は県に実施訓練を要望していたが、実際は15分程度の屋内退避訓練しかできなかったと聞いた。訓練は、現実には不可能な佐田岬からの避難の問題点を払拭(ふっしょく)するためのアリバイ作りではないか。

 八幡浜市、伊方町でさえ、いまの防災計画では複合災害に対し対応できないと答えた。

 また、広島大学の早坂准教授らが主張する「伊方原発の600メートル先に活断層」との予測をどう思うかの問いには、西予市が「勉強させてもらう」と回答。国が示す20_シーベルトでの帰還政策に対しては、再稼働をまっさきに容認した八幡浜市が「住民が納得して帰る環境が必要」と語るなど、本音を漏らす自治体が多く、苦悩が見て取れた。

 先日の福島での地震などもあり、南海トラフ大地震が迫っているいま、自治体も本音の部分では伊方原発は停止・廃炉に≠ニ思っているのではないだろうか。

 今後も地元の方たちと自治体との間で、原発廃止に向けた話し合いができる要請行動をしたいと思った。

(全交関電前プロジェクト・秋野恭子)

3年半の行動で築かれた連帯

 初めて伊方原発30`圏周辺自治体要請行動に参加した。

 一番びっくりしたのは、伊方町庁舎と生涯学習センターの立派過ぎることだった。知識としては知っていたが、ここまでとは! そして、原発事故を考えてとして病院に医療機器が購入されている(年間100億円の町予算のうち30億が原発関連から入ってくる)。その一方で、避難計画は全く不十分だし、自治体当局が複合災害の避難計画を立てるのは無理と言ってはばからないのに、原発は再稼働。命よりカネ≠サのものだ。

 どの自治体にも要請文と質問状を送っていたが、文書回答を含めて誠実に対応して貰えた。3年半あまりにわたって関電前プロジェクトが地道な取り組みを積み重ねてきた成果だと思った。周辺の反原発の仲間たちと議員が参加し、ともに要請行動を担い、自治体と話し合うことができた。

 また、愛媛でいつも放射能健診署名を精力的に集めてくださっているKさんなどによる、私たちへの信頼に根ざした現地の人たちへの呼びかけ、細やかな心遣いに頭が下がった。私もできることを続けていこうと元気を貰った。

   (大阪市・糸賀孝子)

 
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