2016年12月09日発行 1456号

【ウチナーびけん 憲法26条を生かし無償の奨学金を実現しよう】

 今国会で無償の奨学金(給付型奨学金)についてどのような基準でどのぐらいの予算を立てたらよいかと具体的な論議が始まりました。当初、安倍政権は、5段階評定平均3・5以上の成績優秀者で経済的に困難な学生を対象とし、予算も2億円だけで実績をつくればそれで済むという内容で提起しました。

 しかし現実は、シングルマザーなどひとり親世帯、両親がいない世帯、生活保護世帯など、さまざまな環境ですごす子どもたち。競争原理の学校でいじめにあうなど必死に生きる中で、フリースクールを選択する子どももいます。本来の勉学に励める環境が十分に整っているとは言えません。今日の子どもや若者は、憲法25条にある「健康で文化的な最低限度の生活」と26条の「等しく教育を受ける権利」が根本から崩されています。奨学金を受け取っても生活費に回さざるを得ないという新聞記事はその表れといえます。

 子どもを養うために生活保護を利用していた那覇市在住の母子家庭の女性に対し、沖縄県の奨学金は収入にあたるとして市が2回も生活保護の返還請求をしていたという衝撃の報道がありました。原因は、ケースワーカーとのコミュニケーション不足から母親が就学費を申請できることを知らされず、市が一方的に保護費返還処分をしたのです。「生活保護の家は大学に行くなということなのか」と母親は悔しさを語っています。

 奨学金連絡会は、政府に当事者の声を届けようと財務省前キャンドル行動を始めました。「教育の機会均等を保障する奨学金(給付型)の実現を!」「『貧困の連鎖』から『格差の解消』へ、返済困難者をなくそう!」など当事者・支援者は毎週金曜日に訴えています。給付型奨学金の制度設計が政府・与党の中で議論されている中で、現在の学資ローンを転換させていく声を拡げています。

 ZENKOおきなわで集めた無償の奨学金を求める署名もその一翼を担いました。署名は継続して集めています。辺野古新基地と高江ヘリパッド建設への反対運動とともに、貧困がなくなる社会を目指し一緒に行動していきましょう。(那覇和子)

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