2016年12月09日発行 1456号

【DVD紹介/ドキュメンタリー映画 いのちの森 高江/謝名元慶福監督 65分 頒価1500円/人間の愚行は人間が止める】

 カメラはN1ゲートを固める機動隊の車列を通り越し、やんばるの森深くに入っていく。そこには、ノグチゲラなど絶滅危惧種やこの森にしかいない固有種ハナサキガエルなどの生き物が待っていた。「長い時間をかけて作り上げられた貴重な自然が一瞬で壊されてしまう」。そんなチョウ類研究者の語りを打ち消すように、オスプレイの轟音・機動隊の「行軍」シーンに切り替わる―。

 本作は、沖縄・東村高江に暮らす人びとが生活を脅かすオスプレイ・パッド建設に怒り、闘う姿を記録したものだ。川遊びする子どもたちや木工品の工房、パイナップル畑、牧草をはむ馬など日常を知る風景に、やんばるの貴重種、頭上を飛行するオスプレイの映像が繰り返し登場する。国と機動隊に占拠された村、高江での闘いの構図を印象付ける。

 やんばるの闘いは、今回のオスプレイ・パッド建設反対が始まりではない。ベトナム戦争時、米軍は村人を「ベトコン」に見立てた「ベトナム村」訓練だけでなく、1970年国頭村(くにがみそん)伊部(いぶ)岳を標的に実弾演習を計画。これには、小学生から村長まで阻止の闘いにたちあがった。その闘いの記念碑を前に、元安田(あだ)区長が語る。「自然といのちを守ることに関しては、保守も革新もない」

 その後も水源地福地ダムでの軍事演習抗議行動、ハリアーパッド阻止行動。その都度、地域をあげて闘ってきた。その足跡を示す貴重な写真が映される。

 そして07年に始まるオスプレイ・パッド建設。防衛局はやっと開いた住民説明会で「(騒音被害等)負担をお願いします」と口にする。「犠牲になれというのですか」と詰め寄る伊佐真次(まさつぐ)さん。常に沖縄を犠牲にしてきた政府の姿をこれほど明白に示すシーンはない。ゲート前で防衛局職員に抗議する住民の口からは、暴行事件など基地被害の数々がとめどなく出てくる。

 高江区住民30人らは、建設差し止め裁判を起こした。07年の座り込みに比べ、今県内外からともに闘う仲間がゲート前に集まるようになった。だが、差別発言を容認する閣議決定までし、工事を強行する安倍政権、全国からの闘いが一層問われている。『高江―森は泣いている』などとともに本作品を使い、闘いを広げよう。「人間の愚行は人間が止めなければ」とのメッセージにこたえよう。(T)

■問い合わせ先 文化工房慶(080-3225-1854)



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