2016年12月23日発行 1458号【韓国・ソウル 朴退陣、変革求め170万人／なかまユニオンが訪韓／希望連帯労組と連帯】 |
| なかまユニオンは12月初旬、団結まつりなどにも参加した韓国・希望連帯労組らとの交流へ訪韓。朴槿恵（パククネ）退陣を求める大集会にも参加した。井手窪啓一執行委員長に報告を寄せてもらった。 12月１日から４日まで韓国を訪問した。一番の目的は、希望連帯労組の７周年の集いに参加することだったが、３日ソウルに１７０万人、全国で２３２万人が集ったという史上空前の歴史的ろうそく集会に参加することができた。 「十匙一飯（シプシイルバン）」の精神希望連帯労組は、ケーブルテレビ業界の多重下請け構造の下で働かせられている非正規労働者の組合。広告塔や橋の上での高空籠城など激しい争議行為で有名だ。その一方で、学童保育や貧困家庭の住居の修理など地域の社会問題に取り組み、組合員一人ひとりが、良き家庭人、地域社会の良き構成員として生きることを追求している。２日午後７時から開催された集いには、労働組合はもちろん、生協、教会、障碍（がい）者団体、児童センター、バイト生の権利保護団体などの市民運動団体・地域団体、国会議員、非正規センターなどが参加しており、参加者の多様さが希望連帯労組の活動の幅広さを反映している。会場正面には、「十匙一飯（みんなの力を合わせれば、人を助けることができるの意味）」の文字と匙（さじ）でお椀にご飯を盛るイラストが掲げられている。希望連帯労組の精神を良く表している。 希望連帯労組は、７年前組合員９人でスタートし、現在２７００人。委員長は「苦しいことも多いが、この道は間違いではなかった」と７年を振り返っていた。被解雇者への最低賃金補償と罰金の支払で、現在10億ウォン（約９８００万円）の借金を抱えているとのこと。なかまユニオンから連帯あいさつとともにカンパを贈呈した。 朴槿恵への市民の怒り３日は、ろうそく集会の会場となる光化門（クァンファムン）広場を訪れた。周辺道路には、朴槿恵退陣の横断幕がいくつも貼りだされ、あちこちの建物の壁には、朴槿恵が崔順実（チェスンシル）の操り人形になっているポスターがベタベタと貼られている。歩道にも貼られ、朴槿恵の写真を踏みつけながら人びとは歩いている。広場の真ん中に、青い囚人服で縄を掛けられた朴槿恵の大人形があった。セヌリ党の議員を模した毬（まり）を蹴って大人や子どもが遊んでいた。市民の怒りの大きさが分かる。 午後から大小の様々な集会や文化行事が行われている。 18時30分、ろうそく集会が始まる頃には、車道もすべて人で埋まり、広場に何か所も設置されているスクリーン前で群衆が座り込んで集会に集中している。人が多すぎて歩道を歩いて移動するのも困難。参加しているのは、ごく普通の市民だ。「朴槿恵退陣」のステッカーを手にした小さい子が親に手を引かれながら歩いていたりする。 スピーカーがクレーンで何か所も吊り下げられ、広場の端まで音がクリアに届くようになっている。広場にいる１００万人が同じ映像を見、同じ音声を聞くのだ。この日のステージでは、セウォル号家族の訴えが胸に迫ってきた。 社会の変革めざす運動市民は何に怒っているか？大統領が一民間人である崔順実に国家機密を漏洩し、崔順実が国政を操っていた事実に対する怒りがろうそく集会の出発だった。しかし、希望連帯労組によれば、問題なのは、犠牲者づらをして80億円もの賄賂を崔順実らに渡し、国政を歪めて利益を貪ってきた財閥だ。サムスンの三代目経営権問題しかり、現代自動車の非正規職問題しかり。また、１５００の運動団体が集うろうそく集会の主催団体「朴槿恵政権退陣非常国民行動」が言うように、「セウォル号惨事真相究明、ペク・ナムギ農民殺人鎮圧真相究明、国定教科書廃棄、解雇規制を緩和する労働改悪廃棄およびハン・サンギュン（民主労総委員長）釈放、国民の生命と安全を威嚇する医療と鉄道の民営化中断、ＴＨＡＡＤ（サード）（高高度ミサイル迎撃）配置撤回、日本軍『慰安婦』屈辱合意廃棄、韓日軍事情報保護協定廃棄、民主主義憲政蹂躙（じゅうりん）清算、言論掌握中断など、朴槿恵体制の積弊」を完全に清算することが問題となっている。ろうそく集会に集まった市民は、財閥資本の利益のみを優先する韓国社会のあり方そのものに怒りを感じ、その運動は、社会そのものの変革をめざす市民革命となった。 集会の翌４日、与党セヌリ党の非朴派30人が大統領弾劾訴追賛成に態度を転換。12月９日には、大差で弾劾訴追が可決された。だが、朴槿恵は居座り続けている。弾劾が可決された翌10日には、「朴槿恵即時退陣」を求めるろうそく集会に、ソウルで80万人、全国で１００万人の市民が参加した。韓国社会の変革を求める運動は終わらない。   |