2017年01月06日・13日発行 1460号

【1460号主張 戦争と排外主義を許すな 地域から民主主義的社会主義へ】

グローバル資本主義の危機

 2016年は、グローバル資本の支配の危機と排外主義台頭が際立った年であった。トランプ次期米大統領当選を筆頭に、移民排斥を扇動する英独立党、仏国民戦線ら欧州極右勢力の動きはその象徴だ。

 グローバル資本主義はかつてないほどの深刻な格差拡大・貧困を生み出した。市民・労働者の怒りをそらし、取り込むために「生活悪化は職を奪う移民のせいだ」など例外なく排外主義をあおった。グローバル資本がもたらす市民の苦境を移民らをはじめ弱者が原因とすり替えた。

 排外主義は、むきだしの民主主義否定の思想である。人類が築いてきた基本的人権思想と真っ向から対立する。この排外主義を持ち出さざるを得ないほど、グローバル資本の支配は危機に瀕している。

 だが同時に、米大統領候補予備選でサンダースが大健闘し、韓国で市民の連続大規模集会がパク・クネ弾劾を実現したことに象徴されるように、格差拡大と貧困に対する反グローバル資本主義の闘いは世界で拡大している。

凶暴な安倍政権

 安倍政権も、トランプと同様の排外主義だ。しかも凶暴きわまる。沖縄・辺野古と高江での基地建設強行と暴力的弾圧は、軍事独裁政権と変わらない。反対運動を担う沖縄平和運動センター・山城議長らの不当逮捕と長期勾留、沖縄県知事をはじめ地元自治体関係者の出席しない「返還式典」(12/22)の強行。極め付きは、名護市沿岸への米軍オスプレイ墜落(12/13)の対応だ。「飛行停止と配備撤回」求める翁長知事の要請を「多少の事故は免れない」(若宮防衛副大臣)と拒否。それどころか、原因究明もされない事故からわずか6日後、安倍政権は米軍の飛行訓練全面再開を「理解できる」(菅官房長官)と了解した。福島原発事故と同じく市民の命と安全を全くかえりみない対応だ。

 臨時国会では、「私の言うことが理解できないならこんな議論何時間やっても同じ」(11/25安倍首相)と、TPP(環太平洋経済連携協定)と関連法、年金カット法、カジノ解禁推進法と強行採決を重ねた。さらに、政府は国連の南スーダン政府に対する武器禁輸決議採択で棄権し、否決させた。内戦状態の南スーダンで危惧される「民族浄化」(特定民族の根絶)に武器流入で手を貸す行為だ。

 安倍のこうした強権と横暴を許しては、命も生活も根底から破壊されてしまう。

高江・辺野古とともに

 グローバル資本―1%の支配が揺らいでいるからこそ、安倍やトランプが登場した。99%の市民・労働者が圧倒的多数なのだ。安倍は、排外主義とメディア統制で支持をかすめ取っているにすぎない。

 被害に直面する当事者と共に闘い、市民とともに地域を変革すれば支配は崩せる。決して屈しない辺野古や高江の闘いは、安倍の暴走を止める展望だ。孤立させることなくオスプレイ撤去・新基地阻止を実現しよう。来る衆院選では運動の力で市民・野党共闘を築き、戦争・原発・貧困推進の安倍政権を打倒しよう。南スーダンから自衛隊を撤退させ、改憲を阻止しよう。

 MDSとともにグローバル資本主義の排外主義と対決し、民主主義的社会主義の道を切り拓こう。

  (12月24日)
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