2017年02月03日 1463号

【1463号主張 全世界の民主主義勢力と連帯 排外主義を追放しよう】

トランプの就任

 1月20日、トランプ米新大統領は就任演説で「貿易、税金、移民、そして外交問題に関するすべての決定が、米国の労働者や米国民の利益になるように」とし「再び米国を偉大な国にする」と述べた。

 トランプの打ち出した政策は―10年間で2500万人の雇用を創出し、年4%の成長を実現する/そのために所得税、法人税減税、規制緩和を行う/TPPからの離脱、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉、気候変動行動計画の撤廃、オバマケア(医療保険制度改革)の見直しを進め、IS(「イスラム国」)打倒を最優先し、積極的に軍事行動を行う/最新のミサイル防衛システムを開発し、メキシコ国境に壁を作る―というものであった。トランプを支持した白人労働者に応えるとして移民流入を防ぎ、企業を米国に呼び戻すことを掲げた。

「1%」のための政権

 しかし、米国労働者を苦しめ市民生活悪化をもたらしたのは、グローバル資本と米政府による新自由主義政策である。国際NGOオックスファムは1月16日、「世界で最も豊かな8人が世界の貧しい半分の36億人に匹敵する資産を所有」と発表した。あきらかに全世界で貧富の差が極端に拡大し、99%の市民の生活は悪化している。格差拡大の中で最も受益してきたのが米国のグローバル資本だ。米国労働者を苦しめているのはグローバル資本であり、メキシコではない。その根本のグローバル資本を規制せずに労働者・市民の生活が改善されるわけがない。

 トランプ政権の人事を見ればその本質が明確になる。世界最大級の金融資本ゴールドマンサックスから財務長官、経済政策担当大統領補佐官兼NEC(国家経済会議)議長など3人が入った。商務長官は投資ファンドの経営者で、国務長官は石油メジャーのエクソンモービル会長だ。99%の市民の生活を悪化させ、ぼろもうけしてきたグローバル資本の代表者たちが政権の経済政策を担うのである。大企業・金持ち減税、規制緩和を推進し、さらに市民生活を悪化させることは間違いない。

 また、国家安全保障政策担当補佐官、国防長官、CIA長官には元軍人が指名された。「イスラム国」との対テロ戦争を拡大し、難民を増やし、テロを拡大させる。ミサイル防衛システムは軍需独占資本に巨大な利益をもたらす。

 トランプは「権力を国民の皆さんに戻す」とうそぶいたが、事実はグローバル資本と金持ち=1%のための政権である。しかもトランプ政権は排外主義を公然と唱える反民主主義政権だ。ヨーロッパでは、フランスのルペンなどがトランプ支持を表明した。全世界で排外主義グループが「既存権力と対決」と言いつつグローバル資本主義の利益を擁護しようとしている。

470万人が立ち上がる

 だが、全世界の「99%」はだまっていない。トランプの排外主義、差別に反対し、全米そして世界80か国で470万人が立ち上がった。安倍政権は同じく排外主義でトランプと一致し、トランプの要求に応える形で軍備増強、戦争参加を進めようとするだろう。

 民主主義を求める全世界の人びとと連帯し、トランプ、ルペン、安倍らの排外主義を追放しよう。

  (1月23日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS