2017年02月03日 1463号

【みるよむ(426) 2017年1月21日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラク市民はトランプ政権をどう見ているか?】

 2016年11月、アメリカの大統領選挙でドナルド・トランプが当選した。イラク市民はトランプ政権をどのように考えているのだろうか。サナテレビは、大統領選挙の直後にバグダッドの市民にインタビューを行った。

 インタビュアーは、トランプがダ―イシュ(「イスラム国」)を根絶すると言ったことで事態を楽観的に見ている市民も多い、と切り出す。最初に登場する市民は「時々トランプが我々の願いを表明していると感じる」と答える。視聴者の皆さんにとっては意外な反応かもしれない。

 こうした意識があるのは、イラクをはじめ中東諸国のほとんどが独裁、腐敗政権や軍事政権であり、「宗派主義の退廃と病弊」がきわまっているからだ。

 もちろん、トランプを批判する市民は多い。ある女性は「トランプはグローバル世界の資本家としてのものの考え方をしている」と言い、「トランプの勝利はアラブ社会と世界にとって恐ろしい現実となっている。トランプがもし何かを望めば、それを手に入れることができるからだ」と警戒する。中東をターゲットにし、イランの核開発と紛争の危機を減らした核合意について破壊を狙うことなどは、本当に恐ろしい。

 別の男性の活動家も「父親ブッシュも、息子のブッシュも、オバマも、(歴代米国大統領は)同じ道をたどった。専制政治を敷いて武力を行使するに違いない」と述べる。「ダ―イシュも元々は米国がつくりだした。米国は軍事力をもっと行使するだろうからイラクの状況は悪化する」とこの活動家は指摘する。

 最後に登場する脚本家は「米国に占領されたイラクは、米国の51番目の州だ」とまで言う。トランプ自身を含めて新政権の閣僚らは軒並みイラク戦争を支持し推進してきた。国防長官に就任するマティスはファルージャなどの市民虐殺作戦の司令官だった。

 市民は「誰が新しい大統領になっても状況は同じなのだから、私たちは米国大統領選挙を恐れてはいません」と強調する。すでに準備はできている。憎悪と戦争を煽り格差拡大を進めるトランプを許さない。

 サナテレビは、こうした市民のインタビューを通じてトランプ新政権と闘おうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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