2017年02月17日 1465号

【みる…よむ…サナテレビ(428)/2017年2月4日配信 イラク平和テレビ局in Japan/モスル難民女性を支えよう】

 IS(「イスラム国」)の暴力支配と政府軍・米軍の無差別攻撃で、イラク北部モスルでは何十万人もの難民がつくり出されている。中でも女性は特にひどい被害を受けている。2016年12月、サナテレビは、モスル難民の女性たちをどのように支えるべきか、市民にインタビューを行った。

 女性団体の活動家がまず登場する。イラクでは少数派であるヤジディ教徒やキリスト教徒は、ISによって誘拐、レイプ、殺害など恐ろしい仕打ちを受けている。この女性団体は、被害女性を支援し、政府に対して被害者への治療や支援を要求している。

 彼女自身メディアで働き、女性が社会のあらゆる分野で活躍していることを正当に評価するよう訴えている。ISも、イラク政府も、宗教、宗派、民族、男女の違いによって人びとを分断し、少数派を差別し抑圧している。そうした社会の中で、彼女は「穏やかで柔らかく美しいやり方で相手を説得していく」と言う。

 映像でもモスル難民の女性たちの窮状が映し出されている。だが、政府の対策はまったく形だけだ。

 市民活動家は「難民の女性が社会に役立つ一員となるために地域に受け入れなければならないし、政府は、心を痛みで満たしてしまうようなまやかしの約束ではなく、効果的な支援を提供するべき」と断言する。また、「難民女性が虐待され殺害されているのに、政府側からは何の支援もありません」との批判もある。「イラクの国家もまた部族や宗教の立場で見ているからだ」と言う。

 政府に対して要求を具体化し、強めなければならない。活動家たちは、政府が作ると提案している難民女性のシェルターを現実に作らせるという女性団体の要求に賛意を示す。イラク国内、そして海外の女性団体や様々な市民団体が力を合わせてこの動きを強めようとしている。

 インタビューから、女性団体をはじめとしたイラク市民の難民支援運動は、政府を厳しく批判するとともに、市民の心に入り込むしなやかな働きかけをしていることが伝わってきた。こうした姿勢は、日本で安倍政権の憲法改悪や基地建設に反対する署名運動などで多くの人たちに訴えるときにも必要な共通のものと感じることができた。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)

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