2017年02月17日 1465号

【最高裁は「残業代払え」の判決を 国際自動車タクシー労働者 上告審口頭弁論 2・17東京総行動に全力 判決は2月28日】

 「残業代ゼロ」の賃金制度を打破しようと立ち上がったタクシー労働者の闘いが重要な局面を迎えた。

 給料明細に「時間外手当」の記載はあるが、同じ額が歩合給から差し引かれているのはおかしい、と全国際自動車労働組合(国際全労)の組合員14人が起こした裁判。一審・二審の組合側勝訴を不服として会社側が申し立てた上告審の口頭弁論が1月31日、最高裁で行われた。

 長時間労働の規制を緩める労働基準法改悪がもくろまれる中、裁判への関心は高く、39枚の傍聴券を求めて倍の人数が列を作った。支援の労働者が次々にマイクをとる―新宿地区労センター、東京総行動をともに闘う全労協全国一般東京労組フジビグループ分会やJAL不当解雇撤回争議団、けんり総行動実行委員会、大阪のなかまユニオン。特筆すべきこととして、同様の裁判を提訴した国際自動車の他の2つの組合からも多くの参加があり、三重県の三交タクシー残業代不払い裁判弁護団も傍聴にかけつけた。

 弁論に臨む原告代理人の指宿昭一弁護士は「日本の労働者にとってきわめて重大な裁判。残業代を事実上払わない制度は長時間労働を蔓延(まんえん)させ、過労による事故や過労死にもつながる」と力説。国際全労が加盟する首都圏なかまユニオンの伴幸生(さちお)委員長は「安倍内閣が進める『働き方改革』では、第2第3の電通事件が起こる。こうした『働かせ方』をやめさせるために裁判の勝利を」と強調した。原告の一人、国際全労委員長の伊藤博さんは「国際自動車は有休もまともに使わせない悪質な会社。私たちはこの会社を普通の会社にしたい。何が何でも勝ちぬく」と決意を述べた。

 第三小法廷での口頭弁論。伊藤さんは「すでに多くのタクシー会社や運送会社で、国際自動車と同じやり方で残業代を実質的に払っていない。これが違法でないとなると、日本中の労働者が長時間労働による過労死の危険にさらされる」と警鐘を鳴らす。指宿弁護士も「電通過労死事件から何を学ぶべきか。長時間労働が容認される企業は労働者の命を奪う。命と健康と生活時間を守るために長時間労働を抑制している労基法37条の脱法行為を許してはならない」と訴えた。

 報告集会では、首都圏なかまユニオンの石川正志副委員長が「労働裁判は負ける≠ニ思ってみんなの力で絶対に勝ちとる闘いが必要。2月17日東京総行動で国際自動車本社前に結集を」と呼びかけた。

 判決言い渡しは2月28日午後3時。

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