2017年02月24日 1466号

【みるよむ(429) 2017年2月11日配信 イラク平和テレビ局in Japan 増税に怒るイラク市民の声】

 イラクの議会は、今や生活になくてはならないインターネットや携帯電話などに対して新たな税金をかけようとしている。2016年12月、サナテレビは増税に怒るイラクの市民の声を取材した。

 インタビューに答える労働者は「1か月の賃金は40万〜60万ディナール(約4万〜6万円)だが、電話とインターネットの費用にその10%を支出している」と話す。大きな出費なのに、その上政府が新たな税金をかけるのである。彼は「通信はすべての人間の正当な権利だ」と主張し、「国会議員は電話代もインターネット代も電気代も免除されている」と告発する。

 もう一人の労働者は「負担を押し付けてくる議会は国民を貧困と不公正へと連れ戻す」と批判するとともに、「ひどい議員たちを選んでしまった国民にも問題がある」と指摘する。

 最後に登場する労働者の活動家は「税金を上げ、物価を上げ、貧しい人びとの生活を追い込んでいくのが政府とグローバル資本政策だ。人びとの富を略奪し、悲惨な状態に変えてしまう」と批判している。

 現状の厳しさを嘆いているだけではない。膨大な富が汚職政治家やグローバル資本の側にたまっていく一方で、市民の購買力は奪われている。そこでは「貧困者と富裕者の間の闘争が起こっていく」と指摘する。もはやその対立は、宗教や民族の違いなどでは覆い隠せないほどだ。

広がる労働者の闘い

 最近サナテレビのスタッフからイラク現地の状況が伝えられた。IS(「イスラム国」)との戦闘や対市民テロ攻撃が続く現在も、石油労働者や電気労働者が権利を主張して闘い続け、さらに広い産業部門の労働者や若者・学生に闘いが広がろうとしているという。番組に登場した労働者活動家の分析は、そうした社会状況を反映しているのではないか。

 2017年1月、日本政府はイラク政府に対する総額335億円の支援を約束した。イラクの石油権益を確保するためだ。庶民の生活を踏みにじる汚職にまみれたアバディ政権への経済援助に反対し、イラク市民・労働者とともにグローバル資本の格差拡大政策に反対しよう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS