2017年02月24日 1466号

【小池都政2017年予算案反対 大規模開発推進、資本の利益優先 ファーストどころか都民はラスト】

 2月22日から東京都議会が始まる。争点は2017年度予算案、そして築地市場の豊洲移転を許すか否かだ。小池都知事は「東京大改革」をうたい石原都政から続く路線との対決ポーズを見せるが、大規模開発・新自由主義政策推進は何ら変わらない。膨大な利権をグローバル資本、ゼネコンに提供している。これを許せば、都民生活は悪化し、貧困と格差は拡大する。小池都政に反対しよう。

豊洲移転は白紙撤回だ

 築地卸売市場の移転先である豊洲の土壌汚染が極めて深刻で、移転延期が続いている。

 小池都知事は、延期により生じた市場関係者の損害への補償金50億円を補正予算案として計上した。移転強行となればその経費がさらに計上される。豊洲市場が開場したとしても、毎年約100億円の赤字との試算が出ている。巨額の税金が浪費される構図だ。当初、都は豊洲移転整備費に「みなさんが納めている税金が使われることはありません(独立採算の中央卸売市場会計でまかなう)」と説明してきたが、これは粉飾だ。すでに公営企業会計、積立金など都の財政に多くの損害を与えている。

 「なぜ豊洲に移転か」「膨大な土地購入費、土壌汚染対策費は何だったのか」という疑惑と怒りは大きくなるばかりだ。世論に押され、都議会も2月7日、ようやく、移転決定時の石原元都知事、浜渦(はまうず)元副知事、土壌汚染水調査にかかわった企業関係者らの参考人招致を決めた。

 小池都知事は、世論の怒りを利用し、豊洲問題を都議会選挙(6月23日告示、7月2日投票)の争点として都議会自民党をたたき、自らの地域政党・都民ファーストの会で過半数を制しようと狙う。だが、それは巨額の利権配分の主導権を誰がとるかの争いだ。小池都知事・都民ファーストの会は、根本的解決である豊洲移転白紙撤回を打ち出さない。まして、安全で少量多品種の「都民の台所」として中小零細業者を守る公設卸売市場を発展させる考えはない。

税金投入でなく利権解明

 豊洲移転反対の闘いとは、でたらめな土地購入、土壌汚染対策、再開発をめぐる利権構造を明らかにし、都民の財産を食い物にする大資本と都官僚の責任を追及し、二度と繰り返させない住民自治を築く闘いだ。

 石原元都知事らの参考人招致にとどめることなく、都議会に「百条委員会」(疑惑解明のために地方自治法に基づき強い調査権限持つ特別委員会)を設置しなければならない。そして、大もうけした東京ガスをはじめゼネコン(鹿島建設、大成建設、清水建設など)、石原、猪瀬、舛添の歴代知事と市場長らを調べ上げることが不可欠だ。

 疑惑は数限りない。土壌汚染対策費849億円を原因企業の東京ガスがなぜ全額負担しないのか、建設費がなぜ高騰したのか、官製談合の疑いはどうか。それらを不問にしたまま、豊洲失政≠フ穴埋めを税金で行うべきではない。都民・業者に与えた損害の回復費用は、不当な利益を上げた企業・個人が負担すべきだ。

 都民の財産を食い物にしようと群がる構図は、東京オリンピック・パラリンピック関連予算にも見て取れる。猪瀬元知事が招致に名乗りを上げたとき約4700億円だった五輪経費が、今では1兆8千億円を超えるまで膨れ上がっている。招致段階で日本が賄賂(わいろ)を使った疑惑もフランス検察が調べている。

 予算案には五輪施設整備で432億円しか計上していない。約2800億円の仮設施設整備費のうち、国と大会組織委員会との間で負担割合が決まればその額が追加で計上される。小池都知事は最初、「豆腐じゃあるまいし、1兆、2兆、3兆」と経費増大を批判し抵抗していたが、今はその矛(ほこ)を収め、「国民のわくわく感を高めていきたい」と、都財政を五輪利権に差し出そうとしている。安易な税金投入をやめさせ、五輪でぼろもうけする業界、企業に負担させるべきである。

教育、福祉の上乗せ行政を

 小池都知事は、豊洲移転やオリンピックなど大規模開発に予算を使っても「17年度末には約1兆9千億円の残高、貯金(基金)を確保」と誇る。この規模の財源があれば、安倍政権下の国民健康保険料・介護保険料・医療費負担の増、年金目減りから住民生活を守るため、教育の無償化や保育・医療・介護を拡充する上乗せ行政が可能となる。

 小池は、わずかばかりの給付型奨学金や保育士給与の上乗せ(約100億円)を自賛するが、一方で特別養護老人ホーム整備費は37億円も減額され、介護労働者を増やす給与改善は手付かず。都民生活を守っているとはいえない。

 隣の韓国・ソウル市(人口1千万人)では、進歩派市長のもと、大学学費の半減、非正規公務員の正規職員化、最低賃金引き上げが行われた。東京でできないわけがない。

 
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS