2017年02月24日 1466号

【安倍政権のデタラメ答弁/共謀罪、PKO、トランプ/ウソと開き直りのオンパレード】

 通常国会における安倍政権の答弁がとにかくひどい。空虚な自画自賛、質問をはぐらかす長答弁、官僚の作文の棒読み、「蛙の面に小便」の開き直り、逆ギレの野党攻撃のオンパレードなのだ。安倍晋三首相自身、都合の悪い事実を指摘されると「虚偽だデマだ」とわめきだす。この態度は米国のトランプ大統領と本当によく似ている。

共謀罪で逃げまくる

 まずは今国会の焦点である共謀罪法案から。政府が「テロ等準備罪」と言い換えている“あれ”だ。問題となったのは「予算委におけるテロ等準備罪に関する質疑について」と題した文書である。法務省が2月6日、記者クラブ所属の報道各社に配布した。

 その要旨は「法案は検討中であることを配慮すべき」「国会に提出した後、所管の法務委員会で議論を重ねるべきものと考える」というもの。なぜ、このような文書を出したのか。金田勝年法相が予算委員会の質疑で醜態をさらしているからである。

 共謀罪について何を聞かれても、事務方の用意した文章を読み上げるだけ。まともな質疑にならず審議は何度も中断する。法相が無様に逃げまわる姿をくり返し報道されては、共謀罪法案にも世間の注目が集まってしまう。それを避けるためにメディアに「配慮」を求めたのだ。

 「まともに答弁できないから報道するな」なんて無茶苦茶である。当然、激しい批判を浴び、たった一日で文書の撤回・謝罪に追い込まれた。そもそも「共謀罪と呼ぶのは誤りだ」(安倍首相)という主張自体に無理がある。政府がどのようなネーミングをしようが、話し合いの段階で処罰する罪、すなわち共謀罪を新設する法案であることに変わりはない。

 安倍御用新聞筆頭の読売新聞は、政府が名付けた「テロ等準備罪」の「等」すら削り、「テロ準備罪」と紙面で表記している。“含みを持たせたごまかしでは不十分。危険な正体を隠せない”と判断しているのだろう。「共謀罪 中身がバレたら 通せない」というわけだ。

「戦闘」隠しが発覚

 続いては南スーダンPKO(国連平和維持活動)をめぐる稲田朋美防衛相の開き直り答弁だ。ことの発端は、昨年7月の南スーダン情勢を記録した陸上自衛隊派遣部隊の日報などの文書を防衛省が公表したことだった。昨年9月に情報開示請求されたものの、「廃棄した」として不開示決定していた文書である。

 文書には、首都ジュバの自衛隊宿営地周辺で「戦闘が生起」したことが明記され、戦闘の激化でPKOが継続不可能になる可能性を指摘していた。報告を受けた日本国内の上部部隊も「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘が確認される」としていた。

 安倍政権の情勢判断とは明らかに違う。政府は南スーダンで「戦闘」が起きていることを頑なに否定してきた。「駆けつけ警護」の任務付与にあたっては、「現地情勢は比較的平穏」とまで言い切った。なぜ現場の報告とは異なる評価をしたのか。稲田防衛相はこう説明した。

 「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」(2/8衆院予算委)。「戦闘」だと認めれば憲法やPKO参加5原則に抵触し、部隊の撤収を迫られる。そうならないように、言葉の言い換えをしたというのである。

 自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長は、「戦闘」という表現が議論を招くことを踏まえて日報を作成するよう派遣部隊に口頭で注意したことを明らかにした(2/9)。「大本営」の方針にそぐわぬ「現場の報告」は改ざんされるということか。こういう軍人のせいで日本は無謀な戦争に突っ込んでいったのだ。

 法律違反にならないように事実をねじ曲げる−−政府がこのような不正をするようでは、憲法や法律は意味をなさなくなる。稲田の答弁は日本がもはや法治国家の体をなしていないことを証明した。連中は憲法に行動を規制されること自体が嫌なのだ。

年金をトランプに貢ぐ

 最後はこの人、安倍首相だ。2月7日の衆院予算委員会では民進党議員の質問に激高し、「デマ」と決めつけた。一体、何にキレたのか。「日本の公的年金を使った米国への経済協力を首脳会談で提案するのか」という追及である。

 安倍政権には年金マネーを政治目的に利用してきた前科がある(アベノミクス成功宣伝のための株価吊上げなど)。「公的年金の積立金を米国のインフラ事業に投資する」という一部報道の真偽を首相に問いただすのは当然だ。だが、安倍は質問行為自体を「誹謗中傷」よばわりした。

 ま、図星だったのだろう。トランプの通商政策で日本のグローバル企業が不利益を被らないように、安倍は私たちの年金を「貢ぎ物」として差し出すつもりなのだ。

   *  *  *

 米国のトランプは自分に都合の悪い報道や世論調査結果をすべて「偽ニュース」と決めつけている。日本の安倍も同じだ。2人の排外主義者、日米「虚言王」の結託は世界にとって悪夢である。(M)

  
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