2017年02月24日 1466号

【過労死・過労自死の根絶を 残業「月100時間」では殺される 「働き方改革」は長時間労働を助長 労働弁護団・過労死家族が院内集会】

 安倍政権の「働き方改革」は働く人の命と健康を奪うもの、真に実効性のある長時間労働の規制を、と2月10日、日本労働弁護団などの主催による院内集会が開かれた。

 開会あいさつした棗(なつめ)一郎・労働弁護団幹事長は「労働時間の上限を月100時間まで認めると報道されているが、これは労災の過労死基準。高度プロフェッショナルは24時間働かせ放題≠ナ危険きわまりない。労働時間の記録が残らず、倒れても労災申請すらできない点は裁量労働制の拡大も同じ」と批判。

 過労死弁護団全国連絡会議の川人(かわひと)博幹事長が、電通に過労自死させられた高橋まつりさんは深夜労働の連続で3日間に53時間の勤務を強いられたこともあったと告発。「長時間労働を厳重に規制し、過労死を発生させないレベルまで残業を削減すべきだ。過労死防止に決定的に重要なのがインターバル規制。高橋さんの場合、インターバル0時間という日もあった。EU並みのインターバル規制導入が必要だ」と提起した。

 高橋さんの母、幸美さんからビデオメッセージが寄せられた。

 7年前、息子を過労自死で亡くした高知県在住の男性は「特別条項を労使間で締結さえしていれば、毎晩徹夜の仕事になっても企業は罰せられない。こんな働かせ方に若者が希望を持てるだろうか。手塩にかけた息子を先に亡くすことがどんなにつらいか、分かりますか」と問いかけた。

 三菱電機での長時間労働が原因で労災認定を受けた男性は「配属された研究所では残業が月160時間を超えた。上司は残業時間を過少申告するよう強要。研究者としての夢につけ込んだ長時間労働強要とパワハラはつらく苦しかった」と実態を語った。

高橋まつりさんの母、幸美さんのビデオメッセージ(要旨)

 娘はたくさんの夢を抱いて社会に出てまもなく、望みをかなえることなく亡くなってしまった。母である私は会社から娘を守ることができなかった。悔しくてならない。

 娘は1週間に10時間しか寝れないような長時間労働の連続だった。その結果、疲れきってしまい、うつ病になり、命を絶った。

 娘のように命を落としたり不幸になる人をなくすには、長時間労働を規制するための法律が絶対必要だ。三六協定の上限は100時間や80時間ではなく、過労死することがないようもっと少なくしてほしい。日本でも一日も早くインターバル規制の制度をつくり、労働者が睡眠時間を確保できるようにしてほしい。残業隠しや三六協定違反など法令違反には厳しい罰則を定めることが大事だ。逆に、労働時間の規制をなくす法律は大変危険だ。

 24時間365日休息もとらずに病気にならないでいられる特別な人間などどこにもいない。人間はロボットでもマシーンでもない。経済成長のためには国民の犠牲はやむを得ないのだろうか。

 娘は戻らない。娘の命の叫びを聞いてほしい。娘の死から学んでほしい。働く者の命が犠牲になる法律は絶対につくらないでほしい。



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