2017年03月03日 1467号

【福島みずほさん講演要旨 話し合っただけで罪になる 共謀罪は運動の弾圧を狙う】

 狙われる沖縄―辺野古・高江・南西諸島の軍事化から共謀罪について話します。

 まず、日本の軍事化は急ピッチで進んでいます。

 防衛予算は補正予算を含めると約5兆3千億円で、そのうちアメリカからの武器購入額は5千億円です。かつては500億円くらいだったのが、今は軍事費の1割です。

 オスプレイは現在、普天間基地に24機、横田基地に10機、そして日本が17機を買う。オスプレイを買っているのは世界で日本だけです。イスラエルさえ中止しました。合計51機のオスプレイが日本の空を飛べば、必ず重大事故が起こります。どこの空にもオスプレイはいらない。止めなければなりません。

 辺野古の新基地を止めたい。私には強い思い入れがあります。2010年5月に連立政権が辺野古建設の閣議決定をしたとき、私は絶対に署名できないと拒否し、大臣を罷免されました。その記者会見で「全力で新基地を阻止します」と宣言しました。沖縄の民意ははっきりしていますし、決してあきらめてはいません。

 次に高江です。高江の現場は法律が適用されない戒厳令状態です。昨年7月、防衛局は県道上のテントを壊しました。どこにそんな権限があるのか。経産省前テントは最高裁まで争って強制執行されたのです。9月には自衛隊ヘリコプターが重機を運びました。これには管轄する大阪航空局がびっくり仰天。申請、許可が必要なのにやっていなかった。機動隊は東京、神奈川、千葉、愛知、大阪、福岡から動員され、走り回っています。まさに本土が沖縄に襲いかかっているとしか思えない。やめさせなければならない。

 憲法改悪の緊急事態宣言条項や共謀罪が先取りされているのです。

 南西諸島では与那国島、石垣島、宮古島、奄美大島に自衛隊とミサイルが配備されます。今まで何もなかったところです。

 山城博治さんは「沖縄を二度と戦場にしない」とよく言う。南西諸島の人びとも「ここが戦場になるのでないか」と心配しています。もし米中戦争が起これば、どこが戦場になるのか。米国、中国ではありません。沖縄、南西諸島です。「二度と沖縄を盾にするな、捨て石にするな、戦場にするな」と訴えましょう。

 共謀罪はこの10年間で3回廃案になっています。犯罪は共謀、予備、未遂、既遂と進む。犯罪は原則として既遂でなければ処罰されません。予備は殺人予備、強盗予備など刑法の重大犯罪の7つにしか規定がない。予備罪で処罰できないのに、予備よりずっと手前の共謀で処罰できるというのはおかしい。

 トランプ大統領は卓袱台(ちゃぶだい)を引っくり返して殴りかかる、いかにも分かりやすい暴力夫という感じですが、安倍は「おまえを愛しているよ、愛してる」と言いながら殴ってくるタイプ。だまくらかせると思ったら、だましまくる。「テロ等準備罪」などと名前をかえればいいか、と口先三寸のインチキをする。そして沖縄のようにまつろわない(服従しない)人びとは徹底的に弾圧する。安倍は「沖縄に寄り添う」とはもう言わなくなりました。

 山城博治さんは3か月以上も拘束され、接見も禁止。妻や家族、友人にも会わせない。ひどい見せしめです。山城さんの3つ目の容疑は威力業務妨害。昨年1月にゲート前にブロックを積んだことで、11月に逮捕、12月に起訴。その組織的威力業務妨害罪などが共謀罪には入ります。「ブロック積もうか」「座り込みやろうか」とみんなで話し合っただけで、まだ何もしていないのに共謀罪になるのです。

 共謀罪は、人と人とのコミュニケーションを絶ち、さまざまな運動の弾圧に使われます。罪から逃れる唯一の方法は「密告、自首」です。「〇〇しよう」とみんなをけしかけておいて、密告すればその人物は免れ、あとは一網打尽という可能性もあるのです。埼玉や関西で原発や基地への反対行動のバスが「白バス、白タク行為」とされたことがありました。お花見のバスなら摘発しません。原発や基地反対だから摘発する。運動が狙われているのです。法務省は「一般の団体も性格が一変すれば対象となる」との見解を発表しました。そうなれば、その団体は組織的犯罪集団とされてしまいます。現代の治安維持法を止めなければなりません。

 共謀罪が先取りされている沖縄では人びとの生活、環境、民主主義が壊されています。どこよりも弾圧され、どこよりも闘い、どこよりも民主主義をつくろうとしているのが沖縄です。沖縄の人から「『沖縄との連帯』と言うなら、本土で勝てよ」と言われます。あらゆるところで民主主義のうねりを作り出しましょう。

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