2017年03月10日 1468号

【みるよむ(431)2017年2月25日配信 イラク平和テレビ局in Japan モスルの解放とイラクの社会変革】

 イラクでは、IS(「イスラム国」)と政府軍・米軍などの戦闘が続き、市民の犠牲が増え続けている。2016年12月、サナテレビは、この状況の下でイラクの社会変革をめざす左翼・進歩勢力がどのように運動を進めていくのか、活動家にインタビューした。

 最初に登場するのはイラク労働者共産党のムアヤド・アハメド書記長だ。アハメドさんは、モスルを支配するISと米軍・イラク軍との戦争について「民族や宗派の様々なグループ、米国をはじめ帝国主義諸国が介入している。この戦争は帝国主義列強の政策に操られた戦争であり、イラク侵略の延長だ」と断じる。

 ムアヤドさんは「モスルでは150万人の市民が爆撃にさらされている。市民は、イラク軍というハンマーとISの武力に叩かれ、悲劇が起きている。しかし、軍事力がなくても、人びとは自分たちの力でISを追い出すことができる。2、3年前にそういう事例があり、私たちは、抵抗するという経験を持っている」と語る。

 アハメドさんは2004年12月、ICTI(イラク国際戦犯民衆法廷)や全交などの招請で訪日。武力によらないイラクの市民・労働者・女性たちの反占領闘争を報告した。フセイン時代の弾圧のために長年政治亡命を余儀なくされ、イラク占領後に帰国してからは、米軍撤退やイラク社会の民主化を要求して左翼・民主勢力の闘いの先頭に立ってきた。その経験と闘いの中から、ISやグローバル資本の現在の戦争の本質を見抜いている。

 モスル住民は、これまで外部と連絡を取ることさえ難しかったが、いま国内難民として逃れている。彼らの命と生活を守るために市民が立ち上がっている。ムアヤドさんも、他の活動家も、市民と、明確な社会変革の方針を持った左翼・進歩勢力が手を結ぶことを強調する。討論会などの場で広く提案し、呼びかけているという。

 こうした姿は、日本で戦争法反対運動に立ち上がった市民らが野党・進歩勢力に共闘を呼びかけてきたこととも重なる。

 イラクの社会変革勢力はモスルの市民・難民と結んで、宗派主義や民族主義でない民主的な社会再建の取り組みを進めている。このイラク民衆と日本の民衆との連帯を築きたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS