2017年04月07日 1472号

【沖縄 内外の力で山城さん保釈 辺野古県民集会に3500人 翁長知事「撤回を必ずやる」】

「やったぞ」ヒロジ節復活

 152日もの長きにわたる不当な勾留だった。昨年10月、米軍基地建設反対の運動中に逮捕・起訴され身柄拘束が続いていた沖縄平和運動センター議長の山城博治さんが3月18日夜保釈された。「本日保釈」の報に約150人の支援者が那覇拘置所前に詰めかけ、山城さんを出迎えた。

 拘置所から弁護団とともに出てきた山城さんは、支援者を前に「やったぞー!」と両拳を高く掲げ、家族・支援者と抱き合い喜びに溢れた。少し痩せた姿に心配の声も挙がったが、口を開けばいつものヒロジ節が復活した。

 18日、福岡高裁那覇支部は那覇地裁の保釈決定を支持し、那覇地検の抗告を棄却。この保釈は、山城議長解放を求める署名活動をはじめ、刑法学者らやアムネスティ・インターナショナルの声明など、国内外の運動が実を結んだものと言える。屈することなく闘い続けた山城さん自身、「たくさんの激励をもらい、自らの意志を曲げず、気持ちを整理しその日その日を過ごした」と、仲間の励ましの声が支えになったことを語る。

 しかし、保釈決定には事件関係者との面会を禁じる条件など行動範囲にも制限がつき、いまだ自由とはほど遠い環境に置かれている。抗議活動に復帰できるまでまだまだ時間がかかりそうだ。

 公判は今後も続く。山城さんは「私たちにかけられた容疑は、広く言えば県民への弾圧であり、思いを踏みにじる行為。戦争を起こさせない、命どぅ宝の思いを裁判でも訴える」と毅然と述べた。

 山城さんより長く勾留が続く添田充啓(あつひろ)さんはまだ釈放されていない。山城さん保釈後も、最後の1人まで早期釈放を求める闘いは続く。

建設断念へ県民集会

 3月25日、オール沖縄会議による「違法な埋立工事の即時中止 辺野古新基地建設断念を求める県民集会」が名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で開催された。雨が心配される中、集会直前には晴れ間も見え、3500人が結集。工事を強行し続けあきらめを狙う安倍政権に対し、県民は決してあきらめないとの力強いメッセージを発した。

 集会に先立ち保釈された山城博治さんも登壇。勾留中に届いた県内外、世界からの多くの激励に感謝を述べ「どんなに権力が私たちを襲ってきても、我々県民は屈しない!」と久しぶりの元気なヒロジ節が会場に響きわたった。

 発言では、オール沖縄共同代表ほか、県議会議員、県選出国会議員、島ぐるみ会議地域ブロックから、工事強行に満身の怒りの表明、安倍政権への痛烈な批判が相次ぐ。中部地区を代表し、浦添市島ぐるみ会議の伊志嶺雅子さんは「安倍首相はオール沖縄の闘いの前に追い詰められている。抑止力・負担軽減のためと言い、つぶそうとしても、私たちを説得することも押しつぶすこともできない。安倍政権のねらいは県民のあきらめ。私たちの回答は勝つまであきらめないこと≠セ」と落ち着いた口調に力が込もる。

 この日、県知事選後初めてシュワブゲート前を訪れた翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事の発言に注目が集まった。翁長知事は「今日は(登壇者の)いろんな話やみなさんの熱意ある表情を見聞きし、あらためて頑張る決意を固めた。今、政治・世界情勢は変わってきているが、ここだけは『辺野古唯一』という価値観を全く変えずせっせとやる。これでは日本は一流の民主主義国家にはならない。新基地を止めることで、日本の民主主義を、沖縄県民の自由・平等・人権を勝ち取る」と述べた。

 また、県知事の権限である岩礁破砕許可の期限が3月末を迎えるのを前に、名護市漁業組合の漁業権一部放棄をもって許可を得る必要がないとした国の姿勢に対し、翁長知事は「国は岩礁破砕のことでも何でも無視して通り過ぎようとしているが、私の胸の中に(それらの行為は)一つ一つ貯金≠ニして入っている。この貯金≠基に、私はあらゆる手法をもって撤回を力強く、必ずやる」と、初めて埋め立て承認の撤回を明言。会場からは「よし!」と一段と大きな拍手が湧き起こる。

国が断念するまで闘う

 承認取り消しの次の手と期待されていた重要な行政権限である撤回が、ようやくこの場で明言された。新基地を止める強い決意と覚悟を感じるとともに、近々撤回が行われることをうかがわせた。

 最後はオール沖縄共同代表の稲嶺進名護市長。「我々は辺野古新基地を国が断念するまで、われわれの力で断念させるまで、みんなで力を合わせてガンバロー」と三唱した。

 内外の民意を背に県民が一丸となり、新基地阻止へ揺るぎない決意を新たにする日となった。     (A)



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