2017年04月14日 1473号

【韓国 朴政権倒した市民が示す展望 2017ろうそく権利宣言(抄訳)】

 朴槿恵(パククネ)前大統領は3月31日逮捕され、韓国では5月大統領選へ激動が続いている。朴罷免を実現した市民は、市民大討論(2/18)と意見集約、討論を経て3月11日、「2017ろうそく権利宣言」を発表した。目指すべき社会像を示す宣言(抄訳)を紹介する。

新たな民主主義の道へ

 不義と抑圧があるところに私たち市民の抵抗があった。 私たちが一緒に灯したろうそくは、民主主義と人権が権力を独占した少数勢力に蹂躙される現実への耐え難い怒りであった。私たちのろうそくは、セウォル号の惨事で犠牲になった被害者の嘆きであり、警察の放水で死亡したペク・ナムギ農民の望みであり、財閥に取り分を奪われた労働者と庶民の涙だ。私たちのろうそくは、夢を失った青年や青少年の溜息であり、差別と嫌悪に晒される女性や非正規労働者、社会的少数者である障害者、移民、性少数者の憤懣(ふんまん)であり、外交と安保の美名の下で尊厳を踏みにじられる民衆の積もった悲しみである。

 私たちろうそく市民は、不当な権力を弾劾させることが終わりではなく、新しい世界に向けた長い道のりの始まりであることを知っている。この宣言は、ろうそくを持ち広場で一緒に叫んで、討論し交わした希望と夢を紡ぎ出したものだ。私たちが一緒に作ったこの宣言は、下から民主主義の力を成長させるものである。そして、誰も行ったことのない新しい民主主義の道に進むことを宣言する。

■ろうそくは、国民の上に君臨する代議政治を改革して、直接民主主義を前進させる主権者の行動である。

■ろうそくは、特権勢力のために乱用された公権力を容認しない主権者の直接行動である。

 人は不当な公権力に抵抗する権利を有する。国家安全保障と国家利益を前面に出して、民主主義と人権の価値をそこなってはならない。国家権力は、公正かつ透明に運営されるべきであり、民主主義と公共性の拡大に寄与しなければならない。捜査と裁判は公正かつ迅速に行われなければならず、権力による不当な監視や干渉は禁止される。警察と司法機関、情報機関は、市民が承認する制度で民主的に制御されなければならない。

■ろうそくは、腐敗と特権を作る一切の差別と不平等に対する正当な抗議である。

■ろうそくは、良心と表現の自由を抑圧し言論を統制した権力とこれに協力したメディアへの審判だ。

 人は、思想と表現の自由、集会と結社の自由を有する。国は、これを積極的に確保する必要があり、この権利を公権力は侵害してはならない。メディアは民主的な公論の場を提供しなければならず、公正かつ客観的に報道する義務を持つ。
 
■ろうそくは、財閥が享受してきた特権と不当な相続を容認しない。

 国民は、経済民主化と正義の実現を要求する。国は、公正かつ体系的に社会資源を配分して、すべてのメンバーに公平な機会を保障し、経済の正義を実現する方法を作成し、厳格な法執行によってこれを保障する義務がある。社会公共性をそこなう民営化は中断されなければならない。国は、財閥の横暴を防止し、彼らの特権を廃止して、様々な経済主体が共存できる健全な経済、草の根経済と働く人間中心の経済を育成する義務がある。
 
■ろうそくは、労働者の権利を回復して不幸な労働をなくそうとする市民の叫びだ。

 国は、労働の価値を尊重し、すべての労働者が、憲法が保障する労働三権などの労働基本権を実質的に享受できるよう保障しなければならない。国は、労働時間を短縮して、安全で安定した雇用を確保しなければならない。国は、国民に平等な労働機会を提供し、労働者とその家族が人間らしい生活ができる最低賃金を実現し、生活賃金を保障しなければならない。さらに、非正規労働を正規雇用とし、差別をなくし、包括賃金と成果年俸制を廃止しなければならない。国は非正規のない世の中を実現して不公平で劣悪な労働環境を改善する義務がある。

■ろうそくは、生存権を保障され、健康で幸せに生きる権利宣言だ。

■ろうそくは、不平等な教育、序列化・均一化された訓育システムに対する抵抗だ。

 人は誰でも学習する権利を有する。教育の優先順位は、学習主体の創造的思考と多様性を尊重することであり、民主主義と人権の価値を発展させるものである。今日の教育の序列化と入試競争を排除すべきである。国は、すべての教育を原則として無償で提供しなければならず、どの国民も経済格差で教育の機会を奪われてはならない。

■ろうそくは、平和的に共存する権利と外交・国防・統一政策を民主的に決定する権利の叫びだ。

 人は恐怖から自由になる権利がある。朝鮮半島に生きるすべての人は、戦争に反対し、平和統一を追求する権利があり、人類の平和と共存に貢献する責任を持つ。南と北の政府は、お互いの体制を尊重し、軍事的対峙を止め、人道支援と共同繁栄のための交流協力を発展させなければならない。平和共存と統一のために締結された南北間の合意を尊重し、遵守しなければならない。

■ろうそくは、すべての生命が調和した安全に生きていくための行進である。

 人は自然の一部として、安全で持続可能な社会のために、すべての生命を尊重し、保護する義務がある。国は、セウォル号の惨事や原子力発電所の事故のような災害を予防し、被害者を最優先に保護する必要がある。私たちは、すべての生命が尊重され、安全に共存する世界をつくっていく。

2017年3月11日 朴槿恵政権退陣緊急国民行動と「2017ろうそく権利宣言」を共にする2201人

 
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