2017年04月21日 1474号

【みる…よむ…サナテレビ(435)/2017年4月8日配信 イラク平和テレビ局in Japan/市民のデモへの弾圧を許さない】

 2017年2月、バグダッドで政府の治安部隊が市民のデモに実弾やゴム弾、催涙弾を発射。多くの死傷者が出た。サナテレビはデモの弾圧について市民にインタビューした。

 イラクのアバディ政権が今行っていることは、国営企業労働者の大幅賃下げであり、教育や福祉を切り捨てる緊縮政策である。市民が怒るのは当然だ。首都バグダッド中心部にあるタハリール(解放)広場をはじめ、イラク各地で抗議デモが頻発している。

 この市民の怒りを暴力で押さえ込んでいるのがアバディ政権だ。今年に入ってからも、タハリール広場に近いグリーンゾーン(政府中枢や国会がある)付近で治安部隊がデモ参加者を殴打し、3人が重傷を負って病院に搬送された。ジャーナリストも拉致された。インタビュアーのサジャド・サリームさんが語るように、インタビューが撮影された少し前にも、治安部隊がデモを弾圧し、12人が死亡し、300人以上が負傷した。

 インタビューに登場するジャーナリストは「(政府が)法律を踏みにじり、銃撃して多数の市民を殺す」事態に憤る。治安部隊がデモ参加者を殴打し発砲するなど、まさに「イラク国民の権利に対する攻撃」そのものだ。

 さらに市民たちは「デモは市民の権利だ。汚職が蔓延する現実を変えろと要求している」と訴える。「世界中で変革を求め汚職に反対してデモが起こっている今の時代に、政府が罪もない人びとを殺していることを糾弾する」

 ここには、自分たちの平和的なデモが社会を変えるという確信が表明されていると思う。韓国で市民のデモが不正と汚職のパク・クネ大統領を罷免に追い込んだように。戦争法反対の無数のデモが安倍政権に南スーダンからの自衛隊撤退を余儀なくさせたように。

 市民が正当な権利を要求するデモを政府が弾圧するのは、イラクだけではない。米国でも、共謀罪や沖縄新基地建設を進める安倍政権下の日本でも弾圧は激しくなっている。グローバル資本の利益を至上とする戦争政策や社会福祉切り捨てに反対させないためだ。

 イラク市民と連帯し、弾圧を許さない声を共に上げていきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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