2017年04月28日 1475号

【1475号主張 メールもできない監視社会ノー 戦争国家への共謀罪は廃案だ】

共謀罪法案成立へ焦り

 4月14日、衆院法務委員会で金田法相が共謀罪法案の趣旨説明を行い、東京オリンピックへのテロ対策∞国際組織犯罪防止条約締結に必要≠ニ繰り返した。

 だがそのでたらめさは広く指摘されている。安倍が「東京は世界有数の安全な都市」と五輪招致演説をした4年前から刑法犯罪はさらに減り戦後最低。テロ対策の法制度はすでにある。共謀罪は条約加入の必要条件ではなく、政府自ら「テロは条約の対象とすべきでない」と国連で主張していた。破綻(はたん)は明らかだ。

 政府は、19日からの法務委員会で30時間審議の「実績」をつくり、5月連休明けにも衆院強行採決をめざす。世論の注目が集まり共謀罪の危険性が暴かれないうちにと、うそとデマを重ね、数を頼んだ国会通過を急いでいる。

沖縄反基地運動を抑圧

 なぜここまで共謀罪法案成立に必死になるのか。それは、戦争国家づくりに必要な市民運動弾圧とすべての市民の監視にきわめて大きな力を発揮するからだ。

 とりわけ安倍がもくろむのは、戦争路線に真っ向から抗する沖縄の基地反対運動つぶしだ。政府は、4月17日の週内にも埋め立ての護岸工事強行を公言している。大量の土砂を投下し、反対する県民を諦めさせることを狙う。だが、座り込み、海上行動など連日の市民の闘いがひるむことはない。全国の機動隊500人を使った暴力的弾圧でも運動はつぶせなかった。

 共謀罪はこの市民運動をターゲットにする。反基地運動リーダーの山城さんが不当逮捕・勾留された容疑は威力業務妨害、器物損壊などだ。共謀罪の対象罪には、組織的威力業務妨害、日米地位協定に伴う刑事特別法での軍用物損壊等が明記された。行動参加者ばかりか、「計画」=共謀の疑いがかけられればメール・LINE(ライン)などSNSでつながった支援者・知人にまで捜査、処罰対象は及ぶ。

 地元2紙も基地反対の抗議行動が共謀罪の対象となる危険性を訴える。戦前、「国体の変革、私有財産制度否認」の組織に限り「社会運動が抑圧されるものではない」と制定された治安維持法。しかし、国内での初適用は学生の軍事教練反対運動だった。成立すれば、権力は必ず対象を拡げていくことを歴史は教える。

 反基地、反原発、労働運動、住民要求まであらゆる市民の組織、団体、2人以上のつながりが標的となる。共謀罪の捜査は、すべての市民を監視対象にする。メールもLINEも覗(のぞ)かれる監視社会を到来させてはならない。

署名と行動で反対世論を

 法案を廃案に追い込む運動と世論拡大が緊急に必要だ。

 4月6日の法案審議入り強行時には国会前緊急行動に650人、夜の集会には3700人が集い、各地で草の根レベルの学習会、集会、行動が行われ始めた。共謀罪反対、慎重審議を求める意見書も44自治体に上る(4/6毎日)。

 共謀罪反対署名と安倍退陣署名で対話を広げ、反対世論を高めよう。辺野古新基地阻止、南西諸島軍拡反対など沖縄連帯を強め、安倍暴走に対するあらゆる怒りを結んで行動に立ち上がろう。すべての市民を監視し、もの言えぬ社会をつくる共謀罪法案は廃案以外にない。

  (4月17日)
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