2017年04月28日 1475号

【シリア攻撃についてのIVAW声明 全軍事行動停止、米軍は撤退せよ 反戦イラク帰還兵の会 2017年4月12日】

 反戦イラク帰還兵の会(IVAW)は、6日前(4月6日、米国時間)ドナルド・トランプ政権が行ったシリア・シャイラット基地への爆撃を全面的に非難する。我々は、過去16年間際限なく続いた戦争の帰還兵として、米国の軍事介入が海外の紛争を激化させ一層の軍事化を招き、その最大の代償を払うのは占領された国で普通の人びとであることを身をもって知っている。米国の軍事力がシリア紛争に使われたのはこれが初めてではないことも知っている。米国の爆弾はオバマ、トランプ両政権下でシリアに落とされ、その結果千人以上の市民が死亡した。

 我々は、シリアと中東地域における米国の介入と不安定化が長期にわたっていることに反対し、シリアの人びとに死と荒廃をもたらす多くの当事者がいることについて反対している。バシャール・アル・アサドは、2011年に起きその後内戦となった民主主義と自由を求める民衆の非暴力の蜂起に、残虐な対抗措置を取った。アサド政権は、「たる爆弾」(金属片などで殺傷性を強めた非人道的兵器)を落とし、飢餓を引き起こす作戦を展開し、反政府指導者や反対の声を「消し」、拷問を行った。米国に加え、ロシア、イスラエル、サウジアラビア、イラン、カタール、トルコが各国の代理戦争の戦場としてシリアを利用し、暴力が一層常態化している。我々は、すべての外国による介入の停止を含む自決権の行使がなければ、シリア民衆に真の自由がありえないことを知っている。

 我々はまた、トランプ政権がそれ以前の政権を踏襲し、軍産複合体と密接に関わりを持ち、米国の戦争を拡大することで互いの利益の増大を追求していることを知っている。このことは、トランプ政権が進める常軌を逸した危険な外交政策として表れ、また、540億ドル(約6兆円)にも及ぶ米国軍事予算の天文学的増額提案からもわかる。武器販売、武器製造、軍事契約請負のグローバル企業がシリアでの暴力で利益を享受し、新たな空爆を行い、継続配備するたび利益を上げている。

 我々は、すべての米軍と軍事基地の撤退を含め、シリアにおける米国のすべての軍事行動停止を要求する。今回の巡航ミサイルは、議会のみならず、国連安保理との協議もなく発射された。トランプ政権は「人道主義的」と称して軍事力を正当化し、民主的な監視をかいくぐり、行政権力を拡大する危険な先例を次々と作っている。戦争へのこの動きは、シリア国内と中東地域に一層の不安定化、強制移住、市民の犠牲を繰り返しつくり出し、壊滅的な結果をもたらす。世界的にも、北朝鮮と米国との間で今回直面しているように緊張が高まっている。

 トランプ政権は、シリアへの爆撃は人道的理由のためだと強弁するが、その国内外政策は、恐怖をテコとし権力を強化する手段として戦争とイスラム憎悪、反移民感情をあおっている。我々は、いわゆる「テロとの戦い」や今回の軍事攻撃に抗議してきたが、同じようにイスラム憎悪や「イスラム教徒入国禁止」に異議を唱え続ける。トランプ政権が人道的でありたいと思うのなら、イスラム教徒が多数の国からの移民拒否政策を終結し、シリア難民を相当数米国に受け入れることだ。そのことで初めて、引き継いできた危機への対処が可能となる。

 我々は、最近市民の上に落とされた化学兵器について国連武器査察官による独立した調査を求める。また、シリアでの暴力停止の仲介に向けた国際的な努力がなされることを求める。先週何百人もの市民が殺されたモスルから現在も攻撃が進行中のイエメンに至るまで、米軍の軍事行動は、政治的不安定を深刻化し、人びとの生存の機会を奪い続けている。我々は、いわゆる「テロとの戦い」の始まりから、イラク、イエメン、アフガニスタン、パキスタン、ソマリア、そして数えきれないほど多くの国で米国がおかした戦争犯罪の責任をとることを求める。

 我々は、米国の外交政策が何よりも戦争と戦争による利益に基づいていることを認識している。同様に、米国がターゲットにする国家とその民衆を別のものと認めないことの危険性も認識している。現地の必要、要求、責任に応えることについては、我々はこれらの戦争で直接影響を被る人びとの主導で進めることを心から願う。

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