2017年05月05・12日 1476号

【京都 今村復興相発言に怒り/原告9人の口頭弁論】

 福島県などから京都に避難した福島原発事故被害者が、国と東京電力を相手に損害賠償を求めた原発賠償京都訴訟の第26回口頭弁論が4月21日京都地方裁判所で開かれ、原告9人の本人尋問が行われた。昨年12月の第20回弁論以来、原告全58世帯への尋問が続き、今回も傍聴の支援者が証言に聞き入った。

 いわき市から家族で避難してきた男性は「生活面、子どものことを考え不安な気持ちでいっぱいだった」と避難当時の心境を述べ、「子どもの健康を考えると事故前の状態にならない限り戻れない」と苦しい胸の内を打ち明けた。

 福島大学で教員をしていた男性は「民主的だった大学の雰囲気が事故で一変してしまった」と、避難した者と残った者の人間関係に溝ができた現実を語った。また、「低線量被曝が健康にどのような影響をもたらすか明らかでなく、安全性が証明されていない現状での避難には合理性がある」と指摘。「国と東電に事故の責任に対する真摯な態度が見られない」と厳しく批判した。

 郡山市から妻、長男と共に京都市へ避難してきた男性は「放射線被曝への恐怖、知らない土地での生活への不安からうつ病になった」と体験を語り、「今村雅弘復興相の『自主避難は本人の責任』との発言に強い憤りを感じる」と怒りを露わにした。

 原告団、支援する会は、引き続き本人尋問への傍聴支援、1万筆を超えた公正判決署名の一層の集中を訴えている。

◆今後の口頭弁論は第27回5月12日(金)、第28回5月26日(金)で、いずれも京都地裁10時15分開廷。9時35〜50分に抽選番号が配布される。

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