2017年05月05・12日 1476号

【みる…よむ…サナテレビ(437)/2017年4月22日配信 イラク平和テレビ局in Japan/政府は女性の生活を守れ―イラク女性の訴え】

 イラクでは今、テロ攻撃による家族の殺害や失業のために、特に女性の生活状況が悪化している。政府が社会福祉の給付金などを減らしていることが事態を深刻にしている。2017年3月、サナテレビは生活に苦しむ女性たちにインタビューを行った。

 冒頭、年配の女性が街角で物乞いをする姿が映し出される。インタビュアーのサジャド・サリームさんが説明するように、IS(「イスラム国」)などの対市民テロで一家の働き手を失い収入の道が閉ざされた女性に対して、政府が何の援助もしていないからだ。

 イラク政府には年間10兆円の石油収入がある。石油価格が下がっているとはいえ、産出量は1日500万バレル(2003年のイラク占領当時は200万バレル程度)もある。だが、厳しい生活を強いられている女性たちに何の救いの手もさしのべない。驚きと怒りを禁じ得ない。

 高齢の女性たちが切々と窮状を訴える。最初の女性は、子どもも夫もなく、弟のところで暮らしている。糖尿病と高血圧で毎月5万〜10万ディナール(約4500〜9000円)かかるが、社会福祉の給付金が切り下げられた。

 2人目の女性は、子どもが対市民テロによって殺され、遺体さえ見つかっていない。13年間も補償金を待っているにもかかわらず、1ディナールも出ていない。わずかな退職金から家賃を払っている状態だ。

 3人目の女性も対市民テロで息子が殺された。孫を養わなければならないのに、補償金の適用が止められてしまった。「いつ倒れるかも知れない私の家を見てください」と訴える。

 4人目の女性は政府の給付金では食事も満足にとれない。「政府の連中はここ何年も何百万ドルもお金を盗み出した」と厳しく告発する。あまりの不合理に「ああ、神様、神様、神様」と言うしかない。

 これが、イラク市民、特に年配の女性に対する政府の仕打ちなのだ。

 アバディ政権は「財政危機」を口実に福祉や教育の費用を大幅に削っている。サナテレビは苦しむ女性たちの訴えを伝え、女性の権利と生活のために立ち上がろうと呼びかける。日本からもイラク市民・女性の闘いと連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

http://peacetv.jp/



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