2017年05月19日 1477号

【みる…よむ…サナテレビ(438)/2017年4月29日配信 イラク平和テレビ局in Japan /バグダッド マフムディヤ地区の貧困】

 バグダッド郊外のマフムディヤでは、市民の生活をかえりみない行政の失策と社会サービスの欠如のために人びとは困窮している。2017年3月、サナテレビは失業と貧困に苦しむこの地域の住民にインタビューを行った。

 映像の冒頭で地区の様子が映し出される。あちこちの建物が壊れたままで、道路も舗装されていない。路上には物乞いの女性の姿が見られる。産油国イラクの首都とは思えない状態だ。

 最初に登場する市民は、この地区の道路が遮断され検問所がたくさんあることを批判する。政府当局に対して「道路を閉鎖したり社会サービスをなくしたら、どんな利益があるのか」と疑問をぶつける。ラシディヤ地区など他の地域と比べても政府はまともに復興の取り組みをやっていない。地域の経済や人びとの生活は全くよくならない。

 60歳になる市民は「以前のフセイン政権でも、現在の政権でも、社会保障の支給を全く受け取っていない」と言う。もう一人の男性は失業して1か月も仕事がない。「食糧配給制度で政府から支給された小麦粉は腐っていることさえある」。だが、その質の悪い配給の小麦粉を売って生活費に代えざるを得ない。まともな小麦粉は配給の小麦粉の2倍半の2万5千ディナール(約2300円)もする。これでどうやって暮らしていけるのだろうか。

 市民生活の窮状を「物価は高い、仕事もない、だからみんな物を買えない」と端的に指摘する市民もいる。インタビュアーのサジャド・サリームさんは「行政当局者は、市民の苦しみなど忘れて汚職に浸りきっている」と締めくくる。

市民切り捨ては共通

 日本では、東日本大震災の復興担当大臣が「東北でよかった」など失言を繰り返し、やめさせられた。選挙の時だけいい顔をして実際の政治では被災者や生活困窮者を切り捨てるやり口は日本もイラクも共通だ。

 日本政府は、新たに600億ドルの石油関連の投資を行い、イラク政府を支えている。グローバル資本の利益しか考えない汚職だらけのアバディ政権、それを支える安倍政権に、イラク市民と連帯してノーの声を上げたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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