2017年05月26日 1478号

【沖縄辺野古 4・28屈辱の日を忘れない 砕石投下に怒りは頂点 ゲート前座り込み強化を】

辺野古集会に3千人

 連休初日の4月29日、沖縄は怒りと悲しみに包まれた。

 名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前では「辺野古新基地建設阻止!共謀罪廃案!4・28屈辱の日を忘れない県民集会」(主催 沖縄平和運動センター、県議会与党会派などで構成する実行委員会)が開催された。

 1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効。沖縄はその後米軍施政下に置かれ、日本から切り離された。集会では、その「屈辱の日」を忘れないと再確認した。4年前の4月28日、安倍政権は東京・永田町の憲政記念館で「主権回復記念式典」を強行し、「天皇陛下万歳」を三唱した。本土では「主権回復」であっても、沖縄では以降20年間も米軍占領が続き、今なお実態は軍事植民地であり、日米両政府から凌辱(りょうじょく)され続けている。

 1年前の4月28日、うるま市の20歳の女性会社員が行方不明になり、恩納村安冨祖(おんなそんあふそ)の山林で遺体となって発見された。元米海兵隊員で米軍属の男が暴行殺人容疑で逮捕された。容疑者の男はいまだに「彼女が悪かった」とほざく始末だ。「基地があるがゆえに起きた事件だ」「犠牲者を忘れてはならない」と集会参加者全員で黙とうした。

この日は、4月25日のシュワブ沿岸を埋め立てる護岸工事が着手されてから初の大規模集会となった。主権は奪われ、女性が殺され続ける。基地建設を強行し、さらに「共謀罪」で座り込み行動まで取り締まろうと言う安倍政権。3千人の参加者は、怒りのこぶしを突き上げた。

南西諸島とむすんで

 辺野古での県民集会に参加した山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)は、夜には石垣島の『標的の島 風(かじ)かたか』上映会の座談会に呼ばれていた。山城さんは「辺野古・高江で運動している間に、先島では一気に基地化が進んでいる。新基地と先島の自衛隊が動くと、あとは戦争に進むしかないだろう。時代の暗雲を取っ払うことに心を砕く人はたくさんいる。一緒にがんばろう」と700名の市民によびかけた。

 同じ4月29日、宮古島から石嶺かおりさんと楚南有香子さんが大阪で報告、翌日には横浜でも思いを話した。辺野古、石垣、宮古と大阪、横浜をむすんで、新基地建設阻止、南西諸島の自衛隊配備に抗する市民たちは、戦争国家をめざす安倍政権を許さない決意を固め合った。

戦時体制同然の訓練

 米空軍嘉手納基地が戦時体制同然の激しい状況になっている。4月25日、嘉手納基地を離陸したMC130特殊作戦機からパラシュートで降下する訓練が、県と嘉手納町の中止要請を無視して強行された。兵士3〜8名ほどが5回にわたって20分おきに基地内に降下する。これまでパラシュート降下時の事故で多くの県民が犠牲になっている。5月10日午後7時半からは夜間の降下訓練まで行った。

 朝鮮半島情勢と重なり原子力空母カールビンソンのC2Aグレイハウンド艦載機や、コブラボール弾道ミサイル観測機、リベットジョイント電子偵察機なども次々と給油や整備のため離発着を繰り返す。

 5月4日、米コロラド州バックリー空軍基地所属のF16ファルコン戦闘機が8機、翌日には同2機が飛来。9日からは本格的な緊急発進訓練が開始された。日米両政府は口を開けば「沖縄の基地負担軽減」と言うが、現実は基地過重負担がさらにひどくなり、コロラド州、オクラホマ州の州空軍などの外来機までが押し寄せる事態に至っている。県民の怒りが頂点に達するのも当然だ。

ショベルカーで砕石投下

 5月8日の連休明け、辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸の「K9護岸」は新たな事態に入った。これまでネット網袋に入った砕石が波打ち際に5個投下されるにとどまっていたが、ついにネットに入っていない砕石まで大規模に投下する作業が始まった。4月25日の護岸工事着手と沖縄防衛局による記念式典セレモニーをパフォーマンスと批判してきたが、そうは言ってられない。ダンプで運ばれた砕石をショベルカーで10回以上も投下。水しぶきとともに粉塵が舞い上がった。沖縄防衛局は「砕石は一度洗浄したものを投下するため埃(ほこり)などは散らない」と説明していた。話が違う。法令も約束も守らない安倍政権の強行だ。

 それでもまだ海は壊されてはいない。「K9護岸」だけでもダンプ9千台分もの砕石が必要とされる。現地ではシュワブゲート前座り込みの強化でダンプカーや工事車両の搬入を遅らせるなど長期戦に備えた闘いが呼びかけられた。          (N)





ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS