2017年05月26日 1478号

【原発輸出・再稼働許すな/日印協定 衆院外務委可決に抗議】

 インドへの原発輸出を可能にする「日印原子力協定」承認案が5月12日、衆議院外務委員会で自公与党の賛成多数で可決された。

 民進党、共産党をはじめとする野党議員の「核兵器を持つインドに原子力協力してよいのか」という鋭い追及に対し、岸田外相は「NPT(核不拡散条約)の外側にあるインドを実質的に不拡散体制に取り込む」と屁理屈といえる答弁に終始した。なぜそうなるのかについては「2008年のNSG(原子力供給国グループ)がインドへの輸出を特別扱いで認めた決定とインドによる核不拡散の『約束と決意』(ムカジー外相の声明)」があるとの説明だ。しかし、インド外相声明は「インド自身が民生用と定めた原発に関して査察を受け入れること」を表明したにすぎず、軍事用は規制されない。

 また、「インドが核実験すれば協力を停止する」というものの、その担保は全く不十分だ。停止を言う権利を日本側が持っているとしたにすぎない。仮に協力を停止したとして、使用済みの核施設や廃棄物を一体どこに持ち帰るというのか。事故時の賠償請求についてもあいまいで、リスクは企業サイドで判断されるという回答だ。原発を売りたいがために、核拡散に対して抜け穴だらけのこんな協定は認められない。

 経営危機下の東芝をはじめ、原発メーカーは海外原発事業に進出できる状況ではない。電力需要にこたえるといっても、原発が稼働するのは10年後の話だ。協力するなら、すぐに貢献できるクリーンエネルギー技術であり、30%ともいわれる送電ロス対策であろう。

 この日、日印原子力協定国会承認反対キャンペーン(23団体で構成)は院内集会を開いた。「国会承認反対」署名累計4371筆を参加した国会議員に手渡し、抗議声明を採択した。午後6時半からの国会正門前金曜行動では、キャンペーンのメンバーがアピールした。

 これから衆議院本会議、参議院へと場面が進む。キャンペーンは5月26日に院内集会(15時〜 参院議員会館B102会議室)を開き、議員と市民が連携して国会承認させない闘いをつくっていく。

(5月13日 コアネット=戦略ODAと原発輸出に反対する市民アクション 山口兼男)

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