2017年06月02日 1479号

【1479号主張 共謀罪法案衆院強行糾弾 参院通過阻止で必ず廃案に】

怒りに火をつけた

 共謀罪法案の衆院法務委員会強行採決(5月19日)を強く糾弾する。市民を監視し捜査する人権侵害の法案を、国際条約やオリンピック対策とウソをつき強行採決したことは断じて許されない。採決前日、プライバシー権に関する国連特別報告者カナタチ氏は、「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と共謀罪法案への懸念を表明する書簡を安倍首相に送っていた。書簡では「法案の成立を急いでいるために十分に公(おおやけ)の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす」と立法過程も批判している。国際的に糾弾されているのだ。

 強行採決抗議の国会行動には、昼に1500人、夜は深夜まで9千人が参加。直後の土日には、大阪の4千人反対集会をはじめ、全国で抗議集会、署名、シール投票など多彩な行動が繰り広げられた。運動は急速に高まっている。

 各地で取り組まれた署名行動には進んで署名する人が増え、口々に「聞く耳持たない強行採決は許せない」「どうしたら安倍さんを辞めさせられるのか」といきどおりの声をあげる。強行採決は民衆の怒りに火をつけた。

参院で阻止できる

 衆院では強行されたが、闘いはこれからだ。野党は強行を批判し、参院審議も紛糾必至だ。安倍政権は会期中(会期末6月18日)成立を狙うが、審議の日程は足りない。会期延長を口にするのは、苦しさ、あせりの表れだ。

 安倍は、委員会の締めくくり審議に出席すると約束しながら欠席する異例の事態。加計(かけ)学園疑惑での追及を恐れたからだ。森友学園問題に続き、首相自身の口利きである加計学園問題が加わり、国会での追及はさらに厳しくなる。追及から逃れたい安倍だが、会期延長は疑惑拡大、支持率低下につながる。しかも東京都議選(6/23告示、7/2投票)をまたぐ大幅会期延長では、自民、公明、維新が都議選で敵対しあうことで自民・安倍批判が強まり、国会審議が有利に運ぶ保証はない。

 共謀罪の持つ人権侵害の危険性・不当性をさらに暴き、多くの市民がともに闘いを強めるならば、審議未了・廃案に持ち込むことは可能だ。

改憲阻止の前哨戦

 安倍が共謀罪を急ぐ理由は、2020年自衛隊明記の改憲施行=戦争大国のためだ。共謀罪阻止の闘いは、9条改憲を阻む歴史的運動の中にある。安倍は5月21日、年内に自民党の9条改憲案をまとめると公言した。来年2018年の国会で改憲案審議、あわよくば改憲発議で、同年末にも衆院選と抱き合わせの改憲国民投票を想定。遅くとも2019年夏の参院選での国民投票を狙う。タッグを組んだ自公維新3党の数の力で押し切ろうとのもくろみだ。

 しかし安倍政権は強くない。9条改憲案をめぐって自民党内でも意見はわかれ、公明、維新とも温度差がある。森友疑惑、加計学園疑惑の暴露など権力内部の意見分岐もあらわになった。自公維新の分岐を拡大できるかどうかは、市民の運動の力にかかっている。

 今広がりつつある共謀罪阻止の闘いを徹底して強めよう。沖縄新基地阻止の闘い、反原発の闘い、格差・貧困に反対する闘いをたばねる国会闘争で共謀罪を葬り去ろう。

  (5月23日)
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