2017年06月02日 1479号

【M社セクハラ裁判 「真実言えた」 涙で原告証言 卑劣な嘘の加害社長に反撃だ】

 5月17日、M社セクハラ裁判の第7回期日はいよいよ原告証人尋問。今回は3人の裁判官(2人は女性)で、中法廷に場所を移した。この裁判の重要性への配慮か。傍聴者はのべ70人を超えた。

 午前中は原告2人、午後はなかまユニオンと、M社、N社両社長(当時)の尋問があった。原告はセクハラの事実を明らかにするために最後までしっかり証言した。会社側の弁護士の居丈高な態度に、プライバシーにかかわる証言の場でその態度はなんだと怒りがわく。なかまユニオンには、原告2人の嘘をうのみにして抗議行動を展開した、と言わんばかりの質問。井手窪委員長は「組合は客観的に状況をつかみ真実であると考え、被害者の願いである謝罪と再発防止を求めて一緒に動いた」ときっぱり反論した。

 後半のM社社長の証言は嘘まみれ。「言われているような事実はありません」と居直る。

被告は嘘、矛盾だらけ

 「冤(えん)罪だと思うのなら、なぜその時に抗議しなかったのか」と弁護士が声を荒らげる。常識的に考えて、正社員の立場を失うかもしれないのに嘘をついてまで社長にたてつくことはあり得ない。居直り証言に傍聴席もざわつく。裁判官も「私語はやめて。ため息くらいはいいが」。本当にため息のでる証言だ。

 あきれた企業体質も明らかになる。「飲み会に参加できないような社員は使えない」。それが彼らの「よい正社員」の基準なのだ。宿泊を伴うのに「部屋割は特に決めない、本人が聞けばよい」という無責任さ。今どき高校生でも部屋割も決めずに泊るなどない。それを問題とも思わない。これが企業トップか。傍聴の誰もが思わず人格を疑った。

 昼休みと裁判終了後、2回の報告集会は多数の参加者が会場を埋めた。「最後までよく頑張った」「どんな選択しても支え続けるで!」と支援の声が続く。元同僚のお母さんから「闘うのは2人だけどいつでも相談できる私たちがいる。裁判ごとに人数が増えていて心強く思います」とうれしいメッセージ。

原告がきっぱり決意

 原告2人は涙ながらにきっぱり決意した。「今日は一番腹が立った。でも続ける」「皆さんには感謝しかない」

 この裁判を通して、加害社長が大勢の傍聴者の前に姿を見せ、嘘と矛盾があばかれた。個人攻撃するしかなくなっているのは、彼らが追い詰められた証拠だ。きっちりと反論し納得いく解決を勝ち取るまで原告とともにがんばりたい。

 6月22日和解協議を経て、次回期日は8月9日13時15分〜神戸地裁第203法廷。

(なかまユニオン阪神分会・高島ふさ子) 
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