2017年06月02日 1479号

【住宅確保求め対政府交渉/実態知らず県まかせ§I呈】

 区域外避難者の住宅確保を求めて5月15日、避難の協同センターなど4団体共催の復興庁・国土交通省・厚生労働省交渉が行われた。

 復興庁参事官は「国も原発を推進してきた責任があるので今後もしっかり支援していく」と述べたが、具体的には「全国26か所に生活再建支援拠点を設け、相談・費用貸し付けなどを行う。自治体とも協力して臨床心理士につなげる」にとどまり、路頭に迷う避難者がいる実態への緊迫感はなく、依然福島県任せの対応が問題になった。

 住まいの確保ができていない人について復興庁は「未確定が119世帯、不明が32世帯」と報告。これは福島県が4月24日に発表した数字だ。県の調査では、2年限定で契約した国家公務員宿舎入居世帯や行き先不明のまま引っ越した世帯は、解決済みとみなされる。復興庁は119世帯の都道府県別・住居形態別の数を示せず、所持金1000円で退去して行方不明になったケースも「解決済み」にカウントされている実態を突きつけられ、沈黙した。

 雇用促進住宅入居者が都営住宅の優先入居枠から外される一方、継続入居は高家賃で困難なため行き場を失っているケースが取り上げられた。参事官は「入り口は一緒(みなし仮設住宅に条件なしで受け入れ)だが出口に違いがある(居住形態によって応募資格が変わる)のは不条理、納得できないのはわかる」と制度の不備を認めた。国交省住宅局総合整備課は「まだ入居先が決まっておらず公営住宅を希望される方が入居できるよう都道府県にお願いしている。特に東京都には厳しく言っている」と答えた。

 復興庁の「具体的な困難ケースに個々に対応」との返答には、「住宅確保の新たな支援策メニューを示して対応しないと、個々の対応が追い出しのプレッシャーになる」と危惧が表明された。

 参加者は「最後の一人まで寄り添う」(吉野正芳復興大臣)決意の実践を求めて、今後も交渉を続ける。

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