2017年06月09日 1480号

【1480号主張 加計疑獄は国家私物化の末路 共謀罪もろとも安倍打倒へ】

共謀罪強行は許さない

 5月23日、衆院本会議での共謀罪法案強行可決を糾弾する。法案は審議過程で「目的」を「テロ対策」とするデタラメがあらわになった。国連特別報告者や国際刑事法専門家が懸念を表明し、全国57地方議会で反対、慎重審議要求の意見書が相次いで可決された。全国緊急世論調査(5/23〜5/24朝日)でも、73%が法案への国民理解が「深まっていない」と回答した。2020年改憲施行のために市民監視と萎縮をもくろみ強行成立を狙う安倍政権への批判は日増しに大きくなっている。

 強行採決を繰り返す安倍政権は決して強くない。衆院通過は当初の思惑から大幅に遅れた。5月29日、参院に審議は移った。安倍・自公与党は「30時間審議で会期内成立」を強硬に進めようとしている。衆院でも1か月半かかった審議をわずか3週間で終わらせようというのだ。

 なぜ急ぐのか。森友疑惑に続く加計(かけ)学園疑惑で安倍自らの口利き問題が急浮上したからだ。会期延長すれば追及により支持率も急落する。「働きかけていたら責任をとる」と公言していた安倍は、ウソをつき通して早々に国会を終わらせたいと考えたのだ。

加計疑獄の徹底追及

 安倍首相が「腹心の友」と呼ぶ加計学園理事長・加計孝太郎は、育鵬社の歴史歪曲教科書採択支援団体「教科書改善の会」発足時からのメンバーだ。加計は安倍が諮問会議のトップを務める国家戦略特区制度を利用し、獣医学部を申請。52年ぶりの新設で、37億円の公有地が無償提供され、愛媛県、今治市は96億円の事業費を負担する。

 しかし、この認可に関して内閣府が文科省に圧力を加えたことを示す「総理のご意向」などと記された文書の存在が暴かれた。菅官房長官は直ちに「怪文書」として切り捨て闇に葬ろうとした。これに対し、文科省の前川前事務次官が「確実に存在していた」と証言した。権力の中枢にいた人物が安倍に反旗を翻したことは重大だ。読売新聞は突如「前川前次官 出会い系バー通い」の個人攻撃記事を掲載した。明らかに公安情報を基にしている。権力に盾突くものは許さない≠ニの脅迫は共謀罪による市民監視と弾圧そのものである。

 安倍政権の進める新自由主義・規制緩和路線は、オトモダチ・右翼人脈と一体となった国家の私物化だ。韓国で弾劾され罷免された朴槿恵(パククネ)前大統領と同じである。徹底追及し、真実を明らかにしなければならない。

地域で署名を、国会包囲を

 安倍政権内部の亀裂が始まっている。麻生副総理兼財務大臣は「大宏池会」構想を掲げ「安倍1強支配」を牽制し、「(獣医学部新設は)獣医師の質の低下につながる」(5/26)と発言。自民党内の「アベノミクス批判」勉強会には60人の議員が集まった。安倍政権は盤石ではない。

 加計疑獄追及と共謀罪阻止の闘いを結び、運動の力で国会審議を遅らせて共謀罪法案を廃案へと追い込むことは可能だ。この闘いは2020年改憲施行策動を阻む展望を作り出す。連続する国会包囲行動に参加し、地域から署名やファクス、自治体要請を集中しよう。安倍政権を打倒する闘いを大きく広げよう。

  (5月29日)
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