2017年06月09日 1480号

【沖縄新基地阻止へ 宝の海♂す護岸工事 「諦めない」と辺野古に2000人】

 名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が埋め立ての護岸工事に着手してから5月25日で1か月が経った。

砕石投下で粉塵、白濁

 沖縄防衛局は5月9日以降、辺野古キャンプ・シュワブ沿岸域における「K9護岸」工事現場での砕石投下を本格的に開始した。波打ちぎわに敷き詰めた砕石を重機で押し固める作業が行われ、砕石の山は沖合へ30〜40bほど延び、護岸の土台が姿を現わしている。石材を置くたびに粉塵が舞い上がり、海中に投下すれば白く濁る様子が確認されるなど、汚濁防止対策はほとんど取られていない。宝の海≠ヘ、でたらめな工事強行で日々破壊されている。

 さらに防衛局は、沖縄県から出された工事やサンゴの保全など複数の質問書に対しても「直ちに回答するのは困難」と説明を避け、不誠実な態度に終始している。

 県は、指示に従わない国が様々な違反行為を積み重ねる中、埋め立て承認「撤回」のタイミングをうかがうが、「撤回」を求める声は日増しに強まっている。5月9日、沖縄平和市民連絡会は沖縄県に「早期に撤回処分を求める」要請行動を行った。県の基地対策担当官は、埋め立て承認撤回とは別に県が検討している無許可の岩礁破砕に対する差し止め訴訟のタイミングを、明らかに岩礁破砕許可申請違反とされる海底への矢板の打ち込みや浚渫(しゅんせつ)工事を開始したときと明らかにした。

 翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事は26日、差し止め訴訟について「国の対応、解釈を見ながら、6月議会で承認を得るかどうか考えていきたい」と提訴する方針を述べ、撤回についても「必ず撤回をする機会は出てくるだろう」とした。

一人でも多くゲート前に

 日に日に工事は進むが、それでもキャンプ・シュワブゲート前の座り込みによって当初の計画から遅らせていることも事実だ。ゲート前に200〜300人以上が集まれば、工事車両の入構はできなくなっている。最近、抗議市民への拘束・逮捕乱発や現場指揮者に対する突然の排除など県警機動隊の手荒な対応が目立つが、多くの市民が結集すれば手は出せない。

 島ぐるみ会議と沖縄平和市民連絡会は、5月22日から那覇と辺野古を結ぶ大型貸し切りバスを工事のない日曜日を除き連日運行すると決定した。平和市民連絡会の城間勝事務局長は「大浦湾で護岸建設が始まり現場では危機感が強まっている。足がなく辺野古に行けなかった南部や那覇市民、県外の人たちは利用してほしい」と呼びかけた。今、何よりも大事なのは一人でも多くゲート前に結集することだ。

オール沖縄が県民集会

 5月27日、キャンプ・シュワブゲート前で「辺野古新基地阻止『K9護岸工事を止めろ』環境破壊を許さない県民集会」(主催、オール沖縄会議)が開催され、2千人が参加した。「民意を無視した工事の強行は許さない」との抗議の声を上げ、参加者は新基地阻止を改めて誓った。集会では何度も「あきらめない」との言葉が発せられ、政府の工事強行への怒りと不屈の思いを参加者一同再確認した。

 メッセージを寄せた稲嶺進名護市長は「移設を強行する政府は行政努力を放棄している。護岸工事を強行し、県民をあきらめさせようとしている。私たちは絶対阻止すると、心を一つにしよう」と呼びかけた。集会後も200人以上が残り、ゲート前で引き続き工事車両の搬入を阻止した。

 6月中旬には、スイスのジュネーブで開かれる国連人権理事会で沖縄平和運動センター議長の山城博治さんがスピーチする。山城さんは沖縄の状況をふまえ「民主主義の圧殺を訴えたい」と意気込みを力強く語っている。

石垣、宮古配備許すな

 若宮健嗣防衛副大臣は5月17日、石垣市役所を訪れ、同市平得大俣(ひらえおおまた)への陸上自衛隊配備について中山義隆市長に駐屯地の配置図面を初めて提示した。隊舎3棟、弾薬庫4棟、車両整備場2棟、射撃演習場も整備することが判明。配備部隊は、警備部隊や地対艦、地対空ミサイル部隊などで隊員約600名を予定する。

 政府防衛省は、来年度予算概算要求前に石垣市議会6月定例会での自衛隊配備の議論を促進し、既成事実化を狙う。これに対し、自衛隊配備に反対する市議会野党や市民団体は、署名運動を展開し住民投票に向けた動きを急ぐ。

 同じく陸自ミサイル部隊の配備が狙われている宮古島市では、伊波洋一参院議員の質問で「ミサイル部隊は必要に応じて駐屯地以外で部隊を展開する」ことが判明した。

 「ミサイル基地ができれば島中が狙われる」と地元住民が懸念するように、軍事目標となる基地を絶対に造らせない闘いは正念場を迎えている。

 (A)



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