2017年06月09日 1480号

【みる…よむ…サナテレビ(440)/2017年5月27日配信 イラク平和テレビ局in Japan/汚職で電気料金を値上げするな!】

 イラクの首都バグダッドのフセイニヤ地区では、電力の民営化によって電気がまともに供給されず、しかも高額の電気料金を請求されている。2017年1月、サナテレビはこの地域の住民にインタビューをして、怒りの声を伝えた。

 もともとこの地域では公的機関が発電機を設置して住民に電力を供給しており、何の問題も起こっていなかった。ところが、政府は民間の発電業者の供給に変えてしまった。

 インタビューに答える市民は「新たに電力を供給するようになった民間業者はワイロを使って発電機を手に入れた」と言う。ワイロが効いたのだろう。「バグダッド市長と州評議会、電力委員会委員長はこの人物に発電機を与えた」

 この民間業者は地域住民との契約も無視して、電力の供給時間を守らない。たとえば、ラマダン(イスラム教の断食月。昼間は食べ物も飲み物も口に入れない人が多い)の昼間、一部の時間帯について電力供給がカットされた。クーラーも動かない家の中でラマダンの昼を過ごさなければならないことになる。その上、業者は公的機関による発電の10倍も高い電気料金を請求してきた。

 バグダッド行政当局と民間資本は、汚職によって電力供給部門の民営化を進め、電力供給サービス内容を低下させ、高い料金をふっかけている。典型的な民営化・腐敗路線を押し進めているわけである。

 こんなひどい仕打ちに対し、市民はバグダッド州の司法当局に訴えたが却下されてしまった。ある市民は告発する。「政府当局は発電機の所有者と闘うのではなく、私たち住民と闘っている」「発電機の所有者は180家族に対して闘いをしかけている」。180家族、おそらく約1000人もの市民が被害に遭っているのだ。

 インタビューが行われた2017年1月、日本政府はイラクのアバディ政権に電力供給改善のためとの名目で約400億円の政府借款を与えると発表した。日本政府はこれまでも同じ名目で借款を提供してきた。それが腐敗した政府と民間業者の汚職を支えているだけであることはこの映像でも明白だ。政府の腐敗を追及し電力や水道を要求するイラク市民に日本から連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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