2017年06月16日 1481号

【上原公子さんガンバレ5・27集会 不当な賠償請求許さない 住民主権守る基金達成を】

 5月27日、大阪市内で「上原公子さんガンバレ 平和と自治の破壊を許すな!とりもどそう 私たちの住民主権 5・27集会」(主催、集会実行委員会)が開催された。集会では、東京都国立市上原公子(ひろこ)元市長への不当な4500万円もの賠償請求と、それをテコにした翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事個人への損害賠償請求の検討など、国に逆らう自治体首長つぶしを許さず、「くにたち上原景観基金」を達成することが確認された。

憲法の理念を否定

 まず澤野義一大阪経済法科大学教授より、「憲法学からみた上原裁判の問題点」として、上原元市長に4500万円の賠償支払いを命じた判決への批判が行われた。

 ―市長在任中の政策に基づく一連の行為に対して、国家賠償責任を問うことは憲法上問題がある。住民自治に支えられた首長の政策・遂行が違法とされ、国賠請求で求償されることが認められると、首長の積極的な活動が萎縮し、市民自治も抑制される。今後の悪しき先例になる。憲法学上の問題点として、憲法92条の地方自治の本旨を無視している。二元代表制(首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ)の一翼を担う市長権限を軽視し、中立性・公平性を求めることは、「特別職公務員には政治的中立性は要請されない」という1958年の最高裁判例をも無視したもの。判決を下した裁判官は法の精神を理解しない官僚的裁判官だ―。

 さらに、業者の営業の自由に対して、憲法的環境権(13、25、97条)が優位することを指摘。国家賠償請求権制度は、憲法17条に規定された制度で憲法の基本理念に基づく適用・解釈が必要であり、上原さんの行為は憲法に適合した行為で国家賠償請求を適用するのは誤りと断じた。

市民の声は届かなくなる

 続いて、上原元国立市長が「上原求償裁判のもたらす意味」を報告。上原さんは、冒頭「昨日、国立市長に元金3123万9726円を上原基金から返済した。同時に国立市に財政的損失はないのだから、国立市の景観保全のための財源として生かすよう求めた。残り1432万3200円となった」と発言。拍手に包まれた。

 続けて、明快に語った。

 ―政府は「地方創生」というが、自治体に政治的自立はさせない。翁長沖縄県知事や上原のように、憲法92条に基づいて自己決定をする自治体をつくりたくないのだ。高裁判決は「法的手続きのみしていれば、違法といわれることはなかった」としたが、首長は行政マンではなく政治家だ。市民の生命財産を守るために、法では足りないものを新たに制度化する責任を負い、公約を守るためにあらゆる努力が要求される。「中立」はあり得ない。この判決では、選挙で「改革」「チェンジ」と言えば、賠償請求の対象になりかねないことになる。高裁判決は、首長の政治家としての行動や発言に著しく萎縮をもたらすもので、市民の声は届かなくなる―。

戦争路線と対決の意義

 最後に上原さんは「判決は政治家としての首長をつぶすことに意図的に使われる可能性があり、民主主義崩壊のきざしだ」と運動強化を訴えた。

 無防備平和条例直接請求を行なった大阪市、大阪府枚方市、京都府向日市、兵庫県尼崎市からは連帯発言。市民派町長を誕生させた大阪府島本町からの応援アピールで集会は締めくくられた。用意された大量の上原基金リーフレットも、地域で呼びかけるために参加者がすべて持ち帰った。

 上原基金の達成は、安倍政権の脅しには屈しない市民の取り組みであり、沖縄基地建設を強権的に進める戦争国家推進に抗する大きな意義がある。上原さんに「賠償金」を1円たりとも支払わせず、政府の平和と自治破壊のもくろみを打ち砕くため、基金を市民の手で達成しよう。

(5・27集会実行委員会 中川哲也)

《くにたち上原景観基金受付特別口座》

みずほ銀行 日野駅前支店
普通預金口座 1222665
名義人 日野市民法律事務所 弁護士窪田之喜(くぼたゆきよし)



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