2017年06月16日 1481号

【市民の集いに4700人/廃案へ闘い広がる/共謀罪 監視社会の幕は開けさせない】

 「共謀罪法案の廃案を求める市民の集い」が5月31日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、4700人が参加。絶対に諦めない熱気が会場に満ちあふれた。

 ピースボート・野平晋作さんの6・10国会包囲行動に向けたアピールに続き、グリーンピース・ジャパン事務局長の米田祐子さんが主催者あいさつ。「環境・人権・労働・平和問題に携わる15の市民団体が高い危機感から集まった。金田法相は『環境・人権団体も処罰の対象になり得る』という。当局が危険と判断すれば犯罪にされる。監視を強め、恐怖心を煽り、社会の分断を深める。そんな社会を築きたくない。共謀罪は民主主義そのものへの脅威」と訴えた。海渡雄一弁護士は特別アピールで「国連特別報告者の深刻な懸念表明に対する日本政府の反論は偽り。審議を凍結し、一からやり直すべきだ」と迫った。

 市民運動と結んだ民進・共産・社民・自由・沖縄の風の4野党1会派から、廃案への力強い決意が表明される。福島みずほ参院議員は「秘密保護法、戦争法、盗聴法拡大、共謀罪―2020年までに憲法9条を変える挑戦状だ。人びとの抵抗・団結・連帯・運動が力。いま歴史の岐路にある。私たちこそ主権者だ」。

 特別ゲストの精神科医・香山リカさんは「実家の小樽市の偉人に、治安維持法違反で逮捕され拷問で命を落とした小林多喜二がいる。あんな弾圧の社会にしてはいけないと育ってきた。多喜二に顔向けできない」と、人としての尊厳を守る闘いを呼びかけた。

 歴史ある市民団体の発言が続く。アムネスティ・インターナショナル日本の山口薫さんは「国際人権NGOとして人権侵害に反対の声をあげ、56年になる。沖縄で逮捕された山城博治さんの釈放を求める活動が威力業務妨害の共謀罪にあたる可能性が出てきた」。自由人権協会の旗手(はたて)明さんは「基本的人権の擁護のため1947年に設立。70周年のシンポジウムに国連特別報告者カナタチさんを招いたことで書簡を早い段階で入手、翻訳できた。カナタチさんは国際人権の専門家として私的ではなく公的な立場だ。書簡は最初の一歩。今後、国連人権理事会に報告するための調査が行われ、日本政府も回答しなくてはならない。それが公的立場で国連に報告される」と強調した。

 新聞労連委員長の小林基秀さん、日本ペンクラブ言論表現委員会委員長の山田健太さん、総がかり行動実行委員会の小田川義和さん、共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会の加藤健次さんが次々と壇上に立つ。共謀罪廃案の闘いは大きく広がっている。



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