2017年06月23日 1482号

【もう黙ってられんで! 尊厳ある暮らしを守る集い 実態と怒り広げ介護保険法改悪ノー】

 6月4日、大阪市城東区で「もう黙ってられんで!尊厳ある暮らしを守る集い」(主催、同実行委員会)が開かれ、約50人が会場を埋めた。参加者は介護にかかわる実態を語り、真剣な議論を交わした。実行委員会の畑廣昭さんに報告を寄せてもらった。

 大阪市城東区で初めて開かれた「尊厳ある暮らしを守る集い」。介護従事者、当事者、家族が集まり、体験に基づいた介護保険法改悪、切り捨てへの怒りの発言が噴出した。

 まず、98歳の独居高齢者の訪問介護を担っているYさんが「医者からは怒られたが、在宅は本人の希望であり、家族の願いでもある。最後まで支えていくことが尊厳を守ること。本人の家計としては厳しいが、1日3回の訪問で食事、排せつなどのケアを行っている。家族とも連携しギリギリのところで支えている。人生の最後を支える介護を切り捨てる安倍政権には本当に怒りを感じる」と報告。

 論議の口火が切られ、参加者から発言が相次いだ。重度障がいを持つ女性は区役所から理不尽な対応を受けた。「亡くなった夫の口座に、区役所が間違えて振り込んだ支援金を私に返せと言ってきた。口座はすでに凍結しており、私には責任のない話だが、いまだに請求の振込用紙が届く。弱者は人為的に作られるのだと感じた」。これに対し、「この件は行政の責任で解決することができると弁護士のアドバイスを受け、近く要請に行く」と報告があり、窓口で市民要求を抑え込む大阪市(維新の会)の福祉切り捨てを許さない運動としても取り組むことに共感が広がった。

改悪「ふざけるな」

 通所介護事業所で働くKさんは「介護2以下を保険サービスから外す、ふざけるなと言いたい。総合事業が始まり、無資格者が導入されれば事故のリスクが高まるのは目に見えている。さらなる報酬単価の引き下げは事業所の倒産をもたらす。従事者の賃金も低すぎて割に合わない。最低賃金も下回ってしまう。介護保険制度はすでに破たんしている。人生の最後は国が責任をもって保障せよ、そのために税金を払っているんや」と思いをぶちまけた。

 親の介護を担ってきた家族らからは「介護5の母に自立支援とは何なのかと思う。きれいな花を見て、楽しいひと時を過ごす、それが尊厳だと思う。当事者・家族の思いを受け止め、生活を知らないと介護はできない」「保険料を払っているのに家族が同居しているからと生活援助の介護サービスは使えない。これは詐欺や。母親は行政に2回掛け合い、サービスが使えるようになったが、介護保険制度の矛盾を感じた」「母親は骨折で入院し、足が壊死したため切断した。今も入院生活で特養を探しているが、お金のこともあって決まっていない。制度改悪の話を聞いていると邪魔者扱いされているのかと思う」と憤りの声が続いた。

 職場で共謀罪反対などの署名を集めている男性が発言。「介護の署名を見せたら、80歳の従業員が『こういうことをするのが政治や』と。みんなが笑って暮らせる社会になるために税金を払っている。安倍のやることは真逆や」との訴えに拍手が沸いた。

ZENKO介護分科会へ

 集い冒頭の基調報告では、団塊世代が75歳を迎える「2025年問題」―超高齢化社会を前に、医療・介護保険制度の大改悪が準備されていることが明かにされた。保険料・利用料の値上げをはじめ、介護2以下の保険サービスからの排除、介護保険法本来の目的である「在宅を支援するケア」から「自立支援」へのシフト、介護業界を巨大法人の儲け先に再編―などにより、尊厳ある暮らしを支えてきた小規模事業所が一掃され、淘汰されることが指摘された。

 介護現場の実態と怒りを表明したKさんは「介護や福祉は生活に密に関係するところなのに、みんなが知らないまま制度が改悪され、使えなくされていることはやっぱりおかしい。現場で何が起こっているのか、伝えていくことも必要と改めて思った」と今後への思いを語る。

 2017ZENKOin東京では、7月30日午前「尊厳ある暮らしを守り、ニーズに応える介護を実現する」のテーマで分科会が開催される。介護切り捨て反対署名を地域に広げ、全国から集まろう。



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