2017年06月30日 1483号

【みるよむ(443) 2017年6月17日配信 イラク平和テレビ局in Japan 賃金を払え! 病院労働者の怒り】

 イラクの首都バグダッドにあるマフムディヤ病院では、労働者の賃金未払いが続き、労働者は無権利状態に苦しんでいる。2017年4月、サナテレビはこの病院でインタビューを行い、怒りの声を伝えた。

 「私たちが病院の仕事の屋台骨だ」と自負するマフムディア病院の労働者たちだが、常勤雇用でないためにさまざまな理不尽な目に遭っている。

 労働者は保健省に対して訴える。「賃金を払って下さい。3か月も賃金を受け取っていません。私は家賃を払わなければならず、母親は病気で医者に通う必要があります」

 次の労働者は、賃金が毎月20万ディナール(約1万8千円)で、しかも通勤手当が支給されていない。通勤費用は毎日3千ディナール(約270円)かかる。イラクでまともに生活をするには月50万ディナール(約4万5千円)が必要だ。元々低賃金なのに、通勤費用だけでその3分の1も消えていく計算になる。

 4年間契約労働で働いてきた労働者は、3か月も賃金が支払われない中で、自分の妻の治療を依頼しても病院当局から断られた。一時雇用労働者は常勤の労働者が受けている優遇措置も受けられない。

 14年間も一時雇用契約で働いてきた労働者は、通勤費用さえ支給されず、社会保険も受けられない実情を国会議員に訴えた。ところが、その議員は「どこからその経費を出せと言うんだ。私のポケットからかね?」と言い捨てたと言うのである。イラクの国会議員の議員報酬は月に100万円以上である。「汚職まみれの国会議員たちこそ、この労働者たちに必要な費用を支払え」と言いたくなる。

 最後に登場する労働者は、借家の家賃を払ったら通勤費を出せなくなり自宅から徒歩で通勤している。ところが、一方で病院側は行政当局とコネがあるか賄賂を払った人を30人も40人も雇っていると告発する。

 イラクのアバディ政権は石油価格の下落を口実に緊縮政策をとり、病院など公的企業の労働者の賃金を削減し、何か月にもわたって賃金未払いを続けている。サナテレビは最も切り捨てられている一時雇用契約の現場労働者の生の声を伝え、権利獲得のために共に闘おうと呼びかけている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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