2017年06月30日 1483号

【未来への責任(227)/2017キャンドル行動取り組み始まる】

 12回目を迎える2017「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」は、8月12日に都内で開催される。テーマは「東アジアの視点から『明治維新150年』とヤスクニを問い直す」である。

 8月キャンドル行動に向け、5月26日には第1回事前学習会が行われた。講師は『神国日本のトンデモ決戦生活』『「日本スゴイ」のディストピア〜戦時下自画自賛の系譜』の著者である早川タダノリさん。右派ジャーナリストの櫻井よし子が共同代表をし、改憲1000万署名を呼び掛けた団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を取り上げて批判した。森友学園とフェイク(にせもの、模造品、まやかしの意味)、服部幸應(ゆきお)(学校法人服部学園理事長)のまぼろし的「日本の家族」の2つの例から「右翼の主張に共通するのは、理想化された戦前像の欺瞞(ぎまん)。すなわち、ウソで『フェイク戦前』を作り上げ、それで戦前回帰を主張している」という。

 森友学園では、幼稚園児に「安倍首相がんばれ」と言わせ、教育勅語を暗唱させ、ヘイトを煽る醜悪きわまる「教育」を「籠池先生の教育に対する熱意は素晴らしい」と称賛させてきた。早川さんは「戦前でも幼稚園児の教育勅語暗唱は、異様だった」と話す。戦前でもありえないフェイクを用いて戦前は良かったとしているのである。

 服部は「食卓の崩壊は日本国憲法にあり」と全く的外れなことを堂々と「憲法改正の提言」として「国民の会」のHPに載せている。昔は朝と晩の2回は一家だんらんの食卓を囲んだ、子どもたちの行儀の悪さは目にあまる、核家族化が原因である、家族がばらばらになってしまった原因は国家の根本である憲法にある、という理屈だ。家族が一緒に食事をとれない背景に、定時に帰れない長時間残業や雇用の不安定があるが、服部は、現行憲法が権利や自由を重視し、義務や責任を軽視しているからだという。服部の言う戦前の食事は、家父長制の下でのヒエラルキー(ピラミッド型の階層・上下関係)、「食事の時はしゃべるな」であり、楽しい食卓であったはずはない。

 2回目の事前学習は6月16日、井堀哲弁護士を講師に迎え「安倍靖国参拝違憲訴訟判決と反ヤスクニ」をテーマに開催された。

 安倍の改憲・戦争推進路線は危険極まりない様相を呈している。戦争法から市民運動を弾圧する共謀罪、2020年改憲で自衛隊そのものの際限ない強化と内外を弾圧する軍隊へ変貌させようとしている。「北朝鮮問題」を材料に国内世論を操作して緊張状態を作り出し、来年の「明治維新150年」をフルに利用しながら進められている。

 しかし、安倍の戦争・緊張激化政策は海外からも大きな批判が生まれている。共謀罪へ国際的批判が上がり、文在寅(ムンジェイン)政権の誕生した韓国や中国、ロシアとの関係も安倍の思い通りにはいかない。今年のキャンドル行動をアジアの人びととともに成功させる意義は大きい。

(在韓軍人軍属裁判を支援する会 御園生光治)

 
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