2017年06月30日 1483号

【VFPジャパン結成/平和を求める元自衛官と市民の会/軍隊は住民を守らない】

 VFP(ベテランズ・フォー・ピース=平和を求める退役軍人たち。1985年アメリカで設立され、約8000人の元軍人・家族らで構成。全米各地とベトナム、イギリスなどに120以上の支部を有する)の呼びかけに応えて6月1日、VFPジャパンが結成された。

 代表は元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さん。戦争法反対の国会前行動に連日のようにかけつけた。「自衛隊の海外での実戦任務が現実となった。政府はこのリスクを全く語っていない」と危機感を抱き、7人の元自衛隊員とともに立ち上げたVFPジャパン。市民も加わり、平和を求める元自衛官と市民の会として活動する。

 6月9日には「設立記念シンポジウム」を衆院第1議員会館で開催し、約200人が集まった。シンポジストは金子勝慶応大学教授、VFP本部のサム・コールマンさん。

 金子さんは戦争する国の背景にあるアベノミクスの失敗、戦時経済化に言及した。「日銀は戦時中並みの430兆円の国債を抱えている。それでもデフレは脱却していないのは企業が内部留保をため込んでいるからで、300兆円からさらに75兆円も増えた。経団連の中核は重化学工業企業が占める。これまでは自動車やソニー、パナソニックが売れていたが、今はサムスン、アップルが主流で国際競争力が落ちた。そこで原発・武器輸出に道を求めるしかなくなっている」

 コールマンさんは米兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)被害調査を報告し、「今後日本でも増えていくだろう」と警鐘を鳴らした。

基地周囲5`は攻撃対象

 井筒さんは自衛隊・基地のリスクをリアルに語る。「自衛隊は自分たちの陣地を守るためにあり、みなさんを守るためではない。沖縄・南西諸島も、厚木や横須賀も、基地を持つということは、周囲の人びとは情報収集の対象とされ、周囲5キロは攻撃対象となって死ぬ確率があることを覚悟しなければならない」。4月に日本海で米空母と自衛隊のイージス艦が共同訓練を実施したことについて「アメリカは日本が戦争した時に後ろから補完する、と日米ガイドラインで決めている。もし北朝鮮が個別的自衛権を発動していたらどうなっていたか。このリスクを誰にも話さない最高司令官の安倍晋三は危うい」と批判した。

 自衛官の都道府県別出身地や高卒の入隊者数を示し、「地方経済が弱い地域に集中している。貧困率・県民所得との比較でも同様の傾向だ」と、若者を軍隊に引き寄せる経済的徴兵制の問題を指摘。また、アフガニスタン・イラク戦争経験の自衛官から79人の自殺者(2012年度)が出ていることを明らかにした。

 共謀罪にも触れ、「これを言ったらやばい、捕まっちゃう、と物を言うことを萎縮する社会になる。山城博治さんの例が示している。そういう時代をみなさんは是とするのですか」と訴えた。

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